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愛
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愛したかったのだ。
そしてできれば愛されたかった。
しかし、愛したとしても、愛し返してもらえないという切ない経験が、自分を歪めていた。
愛しても愛し返されないということは、己にそれだけの価値がないような。
怒りと絶望。
愛を盗み取り騙し取る行為に走ってしまった。
正統な方法で行って、愛されるように努めるべきだったのか?
そのような愛を竹春は知らなかった。
穏やかな、受け入れられる、承認される愛を。
妄執のような激しい痛みに似た愛しか。
それは愛ではないのかもしれない。
だったら何だというのか?
潤との間に、性愛や恋愛でない、穏やかな愛を育むことが竹春にはできなかった。
恋愛ですらなかったかもしれない。
そう恋愛ではない。
愛しているのに、これが愛でないと言われたら、どうしたらいいのだ?
これが愛でないのなら。
潤との間にあるのが愛でないのなら。
ただ潤を傷つけているだけの一人よがりのものだったなら。
自分はなんという過ちを犯しているのだろう。
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