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隠し通せ3
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仁の大きな手が、俺の手首を掴む
「なん、だよ?」
まっすぐな視線が痛い
「春斗が嫌がるようなことで、俺に隠してることないか?」
川島
頭に名前が浮かんで、口に出そうになる
だめだ。
言っちゃだめ。
「なんで?」
なんか、今日の仁は怖い
「…なんで、だと思う?」
聞き返すなよ。
言葉に困れば、仁はますます見つめてくる
目が、見られない
「もし隠してることがあるなら、言え」
川島とのこと、父さんとのこと、本当は全部辛いって言いたい。
けど、それは押しつけだ。
言われた方は、迷惑に決まってる。
それに、父親と関係があるなんて知ったら
きっと仁は嫌いになる。
嫌われたくない、嫌われたくない
隠し通さなくちゃ
掴まれた手を振りほどく
「仁はさ、俺のことなんでも知ってるわけ?
俺だって隠し事くらい…仁に言いたくないことくらいあるんだけど?」
こんな風に言えば、仁はきっともう聞かない
仁は、俺の嫌がることは絶対にしないから
でも、傷つけてしまう
仁はやっぱり寂しそうな顔をする。
「…何かあったら、言えよ」
頭をくしゃりと撫でられて、仁はベランダから去っていく。
これでいい。
これで良いはずなのに…
呼び止めて、抱きつきたかった
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