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全てを知ってもby栗橋
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春斗は泣き疲れて、腕の中で眠ってしまう
苦しそうに、でも、しっかりと俺の腕を離さない
「まいったな…」
予想以上に、春斗は追い詰められてた。
春斗の父親は、何を考えてるんだ。
この子に執着して、埋められない傷を残してる。
どんなに、怖かったか!
12歳の春斗が、大きな大人に組み敷かれて
それに
最初は必ず痛みがあると聞いた。
それを…無理矢理こじ開けて…
過去のことを癒してやれるほど俺は強くない。
過去は変えられない。それを癒してやるなんていうのは、傲慢だと思うからだ。
でもこれからは、放っておくつもりはない。
これから先は、俺が春斗にしてやれることがある筈だ。
俺の携帯が鳴る。
春斗が起きてしまうんじゃないかとビビる。
相手は慈恩さんで
「慈恩さん、今日はありがとうございました」
『いや、気にするな。川島にはちゃんと罰を受けさせる。吉見くんも心配してたぞ。
突然警官を紹介してほしいなんていうから』
昔、蒼先輩から警察官の知り合いがいると聞いたことがあった。
こういう事情だから、あまり春斗の恥を晒したくなかった。だから信用できる人に。
「はい、ちゃんと言っておきます。」
『…で、三ツ橋君は、大丈夫か?』
「今はもう寝てます。ちょっと怒りすぎたので。」
『ふっ、そうか。それは怖かったろう』
「そ、そんなことは、ないと。」
『お前、普段怒らないだろ。そういう奴が怒ると怖いんだよ』
「そ、それより、春斗の父親なんですが」
かいつまで、虐待である事を言うと
慈恩さんは言葉に詰まった。
『難しい問題だな。相談所に行けばある答えはでると思うが。でも正攻法で、あんな手を使ってくる父親から逃げられるようには思えない』
父親は川島と春斗の関係を知っていた。
それで川島をゆすったと、震える川島から聞き出した。
『三ツ橋君が援交をしていた事を知っていた上で、あえて黙認し。こういう時に利用するなんて頭が切れるというか…異常だ』
自分は出てこないで、他人を使う
こんな奴、本当に存在するんだな。
「しばらくは俺の所で面倒みます。たぶん、ようやくですけど…なつき始めましたし」
すぅすぅと、俺に抱きつきながら眠る春斗を放り出せはしない。
ここが安心できる場所なら、ここにいさせたい
『俺も同僚に頼んで、暫くは見回りさせる。あと、三ツ橋君携帯は破壊しとけ。盗聴器がありそうだ』
「はい。」
盗聴器って、異常すぎる。
『援交のことは、俺で止めておく。でも、二度目はないと伝えておけよ』
「はい」
『あと、川島がお前が怖いって泣きまくって事情聴取が大変だったぞ。』
あのあとも、責め続けたからなぁ…
「俺、警察になれますかね」
『勘弁しろ。お前を怒らせないように署内が、たいへんになるだろーが』
電話を切ると、春斗が目をこする
「ぅん…仁」
寝ぼけてるのか?
ぎゅうっと抱きしめてくる
春斗の携帯をハサミで画面を潰す
割れて中まで見えると、確かに黒っぽい小型機があった。
「まじで、異常だな。」
怖がらせてもあれだから、取り敢えず間違えて踏んだと言っておこう
「じん、じん」
春斗が身じろいで、シャツを握る
縋り付く手を握りしめて
「大丈夫、守ってやるからな」
この子を守るのは、俺しかいない
妙な使命感に俺は湧いていた。
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