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青い花、君のこと2by栗橋
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春斗はポツリポツリと、その空虚な顔で話す
本当は希望を持っていない
自分は壊れていて、今が全て、夢であると。
俺は締め付けられる思いだった。
父親から受け続けた行為、言葉、全てがこの子を捕らえてる。
夢ではないのに。
夢じゃない
そう伝えたくて、頬を触り、つねった。
ここに俺はいる。
夢の中の存在なんかじゃない。
つねると、春斗の目が潤んだ。
うるうるとした瞳
紅潮した頬が、この子の生きてる証だ
ゆっくり震える手が首に回ってきて
背伸びしながら、唇が重ねられた
縋り付くような姿に
俺も離すことができない
暖かくて、柔らかい唇
押し付けられた熱情に、呆気に取られた
「…っ!!!ご、ごめっ!!」
すぐ正気に戻ったのか、赤い顔した春斗が身を引いた
残念だ
もっとしていたかった
…とは言えないけれど。
「ご、ごめん…」
春斗は混乱してるみたいに、慌ててる
「気にしなくていいぞ」
あんまり気に病んで欲しくなかった
きっと寂しかったんだろう
でも、そう言うと春斗の顔が歪む
「違うんだ。俺は…俺が、仁にキスをしたのは…」
春斗の目が真っ直ぐ俺を見上げた。
「好き、…になっちゃったんだ」
理解できず、ボーッとすると
春斗は自分でも分かってないのか、俺を見続ける
「好きだ。仁、どうしよう…好きになった」
「どうしようって…言われても。それにお前、男同士は…」
散々、ホモは嫌だと叫んでたじゃないか?
「やだよっ!男同士って最悪だ。でも…仁は違うんだ。仁だったら、大丈夫になっちゃうんだ!俺、変だよな。普通じゃない」
自分でも納得いってないようだった。
髪をぐしゃぐしゃとかき乱す
「変、なんだ。仁のこと目で追っちゃうし、気付いたら仁のことしか考えてなくて。
今も、キスしたいって思ってたら体が動いて」
まじまじと見つめてしまえば、ますます顔が赤く染まっていく
「ど、うしよう。本当は男なんてやだ。なのに仁がいい。矛盾してるよな?」
小首を傾げて聞いてくる
俺に聞くなよ
子供っぽい仕草につい笑みがもれた。
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