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同情by栗橋
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明るいところで体を見れば、赤い幾筋の線が体を覆う。
タオルで、優しく擦らないように拭いていくと、春斗は困ったように縮こまる
「タオルに血がつくから、だめだっ!」
タオルの心配をすんのかよ…
こんな、自分を傷つけるようなことをして
「薬、塗るから。おいで。」
手を引いて座らせる
普段は明るくて、口も悪いけど
よく喋るし、笑うのに
ふとした瞬間に、こうやって自分を傷つけていく
不安定で、目が離せない
「ごめんなさい」
「なんで謝るんだ」
「…わかんない、けど、仁が辛そうにしてるから。ごめんね」
優しくて、真っ直ぐで良い子だ。
頭を叩けば、ムッとしてる
「どうして、キスしたの?」
寂しそうに、俺だけを求める春斗に、つい手が出してしまった。
自己嫌悪…
弟みたいな子に手を出すなんて…
「答えが、知りたい?」
「なにそれ…超ずるい」
「大人は、そんなもんだ。」
頬を膨らませて、納得いかなそうにしてる。
ごめんな、ごまかして
「春斗、痛いだろ?」
薬を塗って酷いところはガーゼを当てる。
「そんなに、痛くねーよ。
…それよりも、これで綺麗になった?」
心配そうに春斗は聞いてくる
悲しい、悲しい子だ。
春斗を抱きしめる
「綺麗に決まってんだろっ!」
もぞもぞと顔を見上げてくる
嬉しそうに、輝いて
こんなに可愛く、笑えるのに
時に青白い人形のようになって
時に性格まで歪んで
笑顔を奪って
真っ直ぐな心を折り曲げて
自分に自信をなくして
それは、全て
春斗の父親のせい
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