アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
純情5
-
「っうっ、ひっ…くぅ!」
涙が、止まらない
何度見ても、いい。
「ほら春斗、ティッシュ。」
「ぁ。ありがどー」
ズビズビと鼻をかむ
「泣いちゃって。可愛いな、お前」
だって好きなんだ。
この映画は小さい頃父さんと見に行った
はじめての映画
屈強な男が、細い女の子を守る。
単純なストーリーでも、中身は凄くいい
最後はあまり幸せとは言えないけど
それでも、いいっ!
「あれ?」
なんか、忘れてる?
「どうした?」
エンドロールが流れるなか
ある事に気づく
「…あ、ぁ。終わっ…」
さりげなく手を繋ごうとか思ってたのに
「春斗?」
映画に夢中になりすぎ、た…
「ざ、惨敗」
ダメじゃん!
せっかく薄暗闇で、手を繋いで
あわよくば、ぎゅうってしようって思ってたのに
「面白かったなぁ。そろそろカーテンあけるかー?」
「も、もう一回見たい!」
チャンスが欲しい!!
「えっ、そんなに好きなのか?でも、外も天気いいし、外に行かないか?」
「え、映画がいいっ!!!」
仁が立とうとして、思わずシャツをつかんでしまう
「どうした?」
ど、どうしよう
『離れて欲しくない、まだ隣にいて』
言えるわけないって!
そんな、乙女チックなこと
言葉にできなくて、掴んだシャツを握りしめる
「春斗?」
少し垂れ目の優しそうな顔
厚い胸板
抱きしめて欲しい。
あの太い腕の中に、入りたい
キス、したい
上目遣いで仁を見て
無言で目を閉じる
「…春斗」
仁の手が肩に置かれて
仁の匂いが、伝わってくる
キスして、なんて言えないんだ
だから…
これで分かってくれるかな?
嬉しくて、でも緊張して
求めてる自分の姿は恥ずかしい
唇に吐息を感じて…
心臓、うるさい
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
122 / 267