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自覚by栗橋
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「本当は…」
本当は、春斗をそんな風に見てない
言えない
言ったら、終わりだ
でも、これ以上嘘をついてるみたいな事したくない
言いかけて、口を塞がれる
「やっぱり、いいや」
その手が震えてる
小さく
誤魔化すように、二言三言交わして
「先、車いくね」
項垂れる小さな肩が震えてて
俺を見たくないとでも言うように
背を向けて
怒ってるのか?
違うんだ
春斗の為なんだ
「春斗」
このまま1人にさせたら、春斗は2度と笑ってくれない
ぐいっと手を引っ張り
懐に小さな体を入れる
「じ、ん?」
黒目の大きな瞳が、こちらをじっと見た
「お前の…為なんだ…」
春斗が、日の当たる場所で
生き生きと人生を送るために。
父親も、こいつを抱いた男達も
綺麗に忘れられるように。
「春斗が幸せになる為なら、なんだってしてやる。いつか、ちゃんと…誰よりも幸せに」
春斗の笑顔が好きだから
もう、泣かせたくないのに…
見上げてきた春斗の瞳が、夜空を映す
「流星、あったら、願い事叶えてくれるんだよね?」
そう言うと、春斗は目をつむって
必死に祈ってた
そんな、子供の迷信を信じてるなんて
可愛いな
最初は確かに、同情に近かった
自分を傷つけないように
春斗の自信になれるように
そう、思ってたのに
「流星…」
春斗の思いを叶えるかのように、星が線を描いた
「うん…」
もし、本当に願い事を叶えてくれるなら
この子が、幸せになりますように
そして俺は、それを穏やかな気持ちで見守れますように…
例え、俺が…
「春斗、一緒に帰ろう」
手を差し出すと、春斗の顔が驚きに満ちていく
「で、も…」
「いいから」
強引に繋いで、引っ張る
例え、俺が
春斗の幸せを、辛く感じてても耐えてみせるから
だから
今だけは、許してください。
そばにいる、この時間を…
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