アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
自覚2by栗橋
-
手を繋いで、車に戻る
もう俺は自分の中にある、一つの気持ちに気がついていた
運転しながら、ちらりと様子を伺うと
スヤスヤと、寝ている
楽しみにしてた、はずだ。
なのに、俺がそれを台無しにした。
顔をこちらに向けて、静かに眠って
涙の跡が残る、頬を撫でる
その跡が、痛々しくて
胸が締め付けられた
パーキングエリアに車を滑り込ませて
駐車しても、春斗は起きない
「肌、すべすべ…そう」
手を伸ばして、白めの頬を触ろうとして
止める
「…少しなら、いいかな?」
そっと手を伸ばして
恐る恐る触れる頬は
「柔らか…ふにふに、ってかすべすべ」
気持ちいいな
そのまま唇を指で押す
「この弾力…やっぱり若さか…」
ってか俺のやってる事は、間違ってる
好きじゃない
弟のように思ってる
「むぅ…」
そんなの言い訳なんだ
少し開いた唇
そこから漏れる吐息
誘われるみたいに、俺は顔を近づけた
軽く、触れて
甘いな
砂糖みたい
繋がったところから、溶けていきそうだ
「…っん」
離したくない
もう一回だけ…
もう一度、キスをして
運転席で項垂れ、自分の唇を触る
ああ、ほらやっぱり
俺は春斗が、好きなんだ
多分、最初から
同情という言葉に隠して
俺は春斗と、付き合いたかった
甘やかしたい、けど、虐めたい
そんな風に思うのは
好きだから
可愛くて、笑わせたくて、幸せにしたい
俺が、そうしたい
でも…
『気持ち悪い』『近寄るなよ』
自分が言われてきた言葉
自然と離れていく友人たち。
辛いと思っても
仕方ない事だと、割り切ってきた自分
そんな思いを春斗にはさせたくない
蒼先輩は大人だから、それを乗り越えるだけのものがあるとわかってたから、アタックできた
でも春斗は違う
たくさん傷ついてきたのに、負けないで頑張ろうとしてる。
未来を掴もうとしてるのに
それを、俺が壊せるかよ
「好きだ」
悔しい
好きな子が好きと言ってくれてるのに
何もできない自分
「好きだよ、春斗…っ」
好きだけど
好きだから
好きになってはいけない
いつだって俺は、両思いになれない
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
156 / 267