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笑顔2
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仁は呆れたように、息を吐いた
「家に帰ってろ。話は…」
「…嫌だ。」
「いう事きけ。怒らないから…」
怒ってるくせに
怒るくせに
帰ったら、別れ話?
そんなの、嫌だ…
「帰らないっ…」
「春斗…」
仁は諦めたのか、蒼さんの頬にハンカチを当てた
「お、おい、栗橋…」
「いいですから」
ぐっと息が詰まった
「俺以外に、優しくすんなっ」
ずっと言いたかった
仁は優しい
誰にでも、優しい
俺にも、他の人にも、同じくらいに
仁の背中に向かって叫ぶけど
振り向いてくれない
殴ってしまった事も、言った言葉も
俺が悪いって分かってる
でも、いつも1番に優先されるのは俺じゃない
我慢してきた。
ずっと、ずっと…
もう、疲れた
「仁は…俺の事、好きじゃ、ないんだ」
仁は振り返る
「…俺は…」
「…俺が父さんとの事があるから。
だから、同情…で、付き合ってるんだろ?」
違うって、言って
好きだと言って
「俺が子供だから、一時の気の迷いだって…今だけ付き合ってやろうって、おもってたんだろ!?」
嘘だと言って
「そ、れは…」
仁は困ったように鼻の頭を掻いた
なんで、何も言ってくれないの
そんなの、答えは一つだろ
本当の事だから
体が、ゆっくりと冷えていくのを感じる
「本当…なんだ。本当に…」
好きじゃなかった、最初から
無理矢理…付き合ってくれてた。
あぁ、そっか。
最初から…何もかも
俺には何にもなかったんだ
気がつかないで、浮かれて
自分の事、少し自信が持てたりして
バカみたい
バカみたい
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