アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
stepup
-
車に乗り込んでから暫くの間は、さっきの揉め事について直輝が触れることは無かった。
ただ、今日のスタジオへと送り届けてもらった時に、直輝は「大丈夫か?」とだけ穏やかな声音で問いかけてきた。
「大丈夫」と答えたらそれ以上直輝が踏み込んでくることは無い。
それを分かっていて、俺は「大丈夫」だと頷いてみせる。
それは強がっていたわけではなくて、直輝がいるんだからそれで構わないと、心からの言葉だった。
* * * *
あれから暫くの間、俺は怜さんにも龍騎君にも会うことは無かった。
と、言うよりも、仕事よりも間近に迫るコンテストに向けて用意をしていたせいで、事務所にいく暇が無かったのだ。
何よりも今の俺は、長年に夢見ていたコンテストへの本選出場のことで手一杯で、周りを気にする余裕がなかったのかもしれない。
一ヶ月後に迫るそれは、毎年多くの人達が参加する有名なものだ。
俺が本選にまで残れたのは三回目にしてやっとのことだった。
なんとしてでも入賞したいのには理由がある。
ただ、今はまだそれを口にすることは出来ないのだけれど、そうさせてくれないやつが居ることを忘れていた。
大きな大きな子供がいたことを。
「や…ぁっ」
「なんで? 祥の体は悦んでるよ?」
甘い声で呼ばれた時に逃げるべきだった。
振り返った途端に、乱暴で性急なキスをされて、割り込んできた直輝の膝に揺さぶられてしまえば、呆気ないほどに流されてしまう。
飲みきれなかった唾液が口端から零れていくその感覚にもじんじんとお腹の奥が疼いてしまって、「もう、駄目……」と声を出した時には壁を背にして座り込んでいた。
駄目だと言った言葉すら、声になっていたかも危ういほどに体が熱くてたまらない。
「俺のこと好き?」
「んッ、ァ、ぁぁ」
「ね、好き? 好きって言ってくれないと、朝まで泣かせちゃうよ?」
答えたくても答えられない俺をいいことに、直輝が楽しげに目を細めて律動をはやめる。
──駄目に、決まってるだろ!
胸中では否応なく答える俺がいた。
直輝の質問に、馬鹿なこと聞かないで、と反抗する理性もある。
だけど体はとっくに直輝の甘い囁きに溺れていた。
キスも早急なら、直輝の熱が身を貫くのも早かった。
それでやっと、甘い声で俺を苛める直輝が、ただ構って欲しいだけじゃなくて、それ以上に面倒な不貞腐れに突入したのだと気づいた。
「あっ、あん、っ、なお……なおッ!」
ビュクビュクと脈打ち、性器から白濁液が飛び散る。
息が詰まって、熱に浮かされるかのように直輝の名前を何度も口にしながら、幾度目かの絶頂を迎えた。
何時間もの間抱かれ続けていた体は糸の切れた人形のように弛緩している。
朧気な視界で直輝と目があう。
それは目を背けたくなるほどギラギラとしていて、色気に満ちた獰猛な眸だった。
「可愛い。大好きだよ、祥ちゃん。でも俺のこと放置したのは悪い子だよね?」
「ひぅっ──!」
うっとりとしたような顔で、直輝が恐ろしいことを口にする。
ゾッとした俺は、わけも分からず「ごめんなさい」と「許して」を繰り返して這って逃げようとした。
けれどいとも簡単に俺の片足を掴み引っ張り寄せると、直輝は「可愛すぎて食べちゃいたい」とわけのわからない、より恐ろしいことを言って腰を突き上げた。
「ごめ、っ、ゆる、ゆるひて…っ、も、やぁっ」
ヒューヒューと息も絶え絶えになっている俺を抱きしめて、直輝が奥へと入り込もうと腰を押し付けてくる。
その度に電流のように強すぎる快楽が波のように襲ってきて、涙がボロボロと溢れて止まらなかった。
目が溶けてしまいそうなほど泣き喘ぐ頃になって、直輝はやっと俺を解放した。
赤い舌先で俺の涙を舐めとりながら、名残惜しいとでも言うかのように。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
497 / 507