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step up
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残りの時間はあっという間に駆け抜けて行った。
本番当日となった今日。
約束の時間を過ぎてもモデルの子と連絡が取れない。
来る途中に何か事故にでもあったのだろうか。
不安に思っていた矢先、モデルの子から連絡がきた。
『もしもし、すみません…あの。今日行けそうにないです』
『え?!』
モデルの子はそう言うと理由を話さずに謝った。
『ごめんなさいっ、本当にごめんなさい!』
『急にどうしたの? 何かわけがあるなら話してもらえれば』
『ち、違うんです! とにかく行けないですっ、ごめんなさい!』
彼女はそれだけを言うと、電話を切ってしまった。
もう一度かけ直そうかと悩むが、来ないという人に何を言うんだ?
それよりもやるべき事があった。
代わりのモデルを一刻も早く探さなければならない。俺がよく知っていて、魅せることの出来る人……誰か、誰か居ないだろうか。
悩んだ頭の中でパッと光が見えた。
「そうだ、涼夏!」
「ん?」
タイミングよく背後の扉から涼夏がやってくる。
「ごめん、涼夏! でも今日だけ俺のお願いを聞いて欲しい」
「え、な、なに?」
俺は彼女の手を引き、鏡の前に座らせるとことの顛末を話した。
「私がモデルって……周りの人達に負けるわよ」
「そんなことないよ。涼夏は綺麗だ」
「……あのたらしと長年いればサラッとお世辞を言うのも朝飯前になるのかしら?」
「え、それって直輝のことだよね?」
「……」
直輝は歯が浮くような甘い言葉を沢山言うけれど。
今朝も暫くキスの嵐で、送り出された頃には何だか色々なものを奪われた気がした。
このコンテストを直輝も見に来ている。
混乱を招いてはならないから裏側からだけれど。そんなところで、参加も出来ずに諦めることなんて無理だ。
「涼夏、今回のコンテストはいつもと理由が違うんだ」
「……そう、いいわよ。決まったらさっさと打ち合わせをしましょう」
「ありがとう」
カラッと笑う彼女の笑顔が眩しかった。
思いもしないアクシデントではあったけど、止まってる暇はない。このコンテストを応募した理由を思い出して、開始直前まで出来ることをした。
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