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愛しい温もりと居場所
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パチパチと瞬きをするだけで
反応がない俺に
ゆっくりと静かに直輝があの日あった事
全部を話してくれた
映画館で高田の異変に気づいてた事
だけど高田を信じてる俺にそう言ったら俺がまた昔みたいに傷つくんじゃないかって不安で言えなかった事
だから高田の元カノに直接電話番号を聞いて俺と何かがある前にケリを付けようとしていたけど遅かった事
全部全部一つずつ直輝は俺の目を見て話してくれた
「…言えなかった…その日、俺祥に朝一番で会いに行こうと思って駅まで行ったけど女もついて来てたんだ」
「うん」
「酔ったふりして色々あって抱きついて来るから、耳元でうぜーって言ったんだけど…それ祥に見られてたんだな」
「へ?!」
「全部嘘じゃない、女に確認してみるか?俺そのあと思いきり最低って怒鳴りつけられてるし俺達のあいだには本当に何もない」
「待って…え、じゃあ文句言うために…?!」
「俺が祥以外の奴に下心あると思うか?」
「で、でも…っ!」
「ん?気になること何でも聞いて、全部答える祥が許してくれるまで何でもする」
「そんな………でも、あのひとつだけ………昨日は…なんで来なかったの?」
「昨日?」
「……直輝の話聞かないで追い返しちゃったから…だから昨日あの公園で待ってるって連絡した…」
「はぁぁ、まじかよ…悪い今携帯壊れてるんだ」
「え?!」
「先輩酔い潰れて俺の携帯壊したんだ、データはそのまま無事だけど画面割れて使えないからいま修理してもらってる……ってまさか祥1日中居たんじゃ無いだろうな?!」
「…………」
「なんで…!…本当に馬鹿だな何かあったらどうするんだ…」
「……なんだ…あははっそっか……っ」
「祥…?」
「…うぅ…っ」
「どうした?!」
「じゃ、じゃあ…本当に直輝は俺の事まだ好きで居てくれてるの…?俺だけじゃないの…?」
「………なんだよその下からの言い方は俺が祥に惚れてるんだよ?この先も嫌いになることなんかない」
「…っ」
「俺は喧嘩ぐらいで嫌いになるほど軽い気持ちなら簡単に好きだなんて口にしない」
「うぅ…っ俺……俺っもう…直輝と別れるって…」
「馬鹿だな…逆に何で喧嘩くらいでこんなに好きなのに別れなきゃならないんだよ」
「だって…っ」
「喧嘩の度に別れてたら何回も祥に本気の告白しなきゃならないな…まっそれも良いけど、毎回顔真っ赤にする祥が見れるならいくらでも告白する」
「うぅっ馬鹿…」
「馬鹿は祥だよ………なあ祥?キスしていい?」
「……」
「嫌?」
「…違くて……俺の事、汚くないの…?」
「………ここも」
「えっ…っ!ん…なおっ…ちょ、ダメ汚い」
「綺麗だよ…ここも、ここだって…全部綺麗」
「や…っ…だめ……」
熱い瞳で見上げてくる直輝が体中にキスを降らす
わざと俺を見ながら翻弄するみたいに誘うようにして
ドクドクと煩くなる心臓と
熱の篭った吐息とキスの音が教室に響く
最後、
俺の足の甲にまでキスをした直輝が
こっちを見て優しく微笑むから
胸の奥がズクズクと疼いて涙がポロポロと零れて止まらない
「世界で一番愛してる人の事どんな事があっても汚いだなんて思わない」
「――っ」
「おいで、仲直りのキスしよう」
「っん…!うん…っ直輝ごめんなさい…っ」
「俺もごめん意地悪な事沢山言ったし沢山傷つけた…本当にごめん」
椅子から崩れ落ちるようにして、床に膝をついて見上げてくる直輝へと抱きつく
しっかりと腕の中に直輝が抱きとめてくれると痛いくらいに強く、強く抱きしめてくれて涙がぼろぼろと流れ落ちた
「直輝っ好き…大好きっ」
「どうした?素直じゃん」
「も、一生…言えなくなるかもって思ってた…もう二度と直輝に抱きしめてもらえないんだって」
「…馬鹿だな本当に」
「好き……好きだよ…大好き直輝」
「ん、俺も…大好きだ」
直輝がここにいる事を確かにいま目の前にいる事を確かめるように強く強く抱きつく
耳元で好きと言ってくれた直輝の声がほんの少しだけ掠れていて、それに気づいた時尚のこと心臓が締め付けられて涙が溢れた
ゆっくりとお互いのあいだに1ミリも隙間がないほど抱きしめあって顔をあげると
視線が絡まりあうなり今度は引き寄せられるようにして直輝の唇に重ね合わせた
沢山傷つけてしまった
もう二度と直輝とこうやって抱き合えないと思っていたのに
馬鹿だと言われても本気で嫌われたと思っていたんだ
もう直輝はほかの誰かのところへ行ったんだって
疑ってたずっとそうとしか考えてなかった
直輝はこんなにも俺の事を心配して一人で何とかしようとしてくれてたのに
俺は結局最後まで自分の事しか考えてなかった
だからこそ思ったんだ
もう二度とこの人を疑う事はやめようって
例えどれだけバカだって言われても
直輝の口から真実を聞くまでは俺は直輝を信じようって
直輝の言葉が例え嘘だとしても
俺の信じるべき人はこの人だけだから
陽が言ってた言葉が思い浮かんだ
いつか終わりが来るなら
それまでうんっと愛したい
俺も…
俺も直輝の事愛してもいい事を許されるあいだは死ぬほど愛したい
もうこんな風に疑うなんて嫌だから
怖くても好きだって決めたなら
最後まで直輝の事信じようって
それが俺にとっての決意なんだと思ったら
男同士だとかいつか別れるかもとか
ぐちゃぐちゃ悩んでいた事すべてが吹っ切れた気がした
未来を見て今目の前で笑ってくれる直輝を愛せないような
弱い自分に負けたくないって思ったんだ
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