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ハプニングは唐突に
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「俺リビングで寝るからそこ勝手に使って」
「……」
「お休み」
「……ッ、あ……なお……」
1度こうなったらきっと長引く
冷戦状態いつまで続くんだろう
あんな事言うつもりなんて無かったし
思ってもなかったのに
名前呼んでも振り返ってもくれなかった
それでもちゃんとお休みって言うところとか
部屋中に直輝の匂いだけが残ってるのとか
寧ろ傷口を抉ってくる
俺が傷つけたみたいに
直輝も俺を傷つけてくれたらどれだけ楽なんだろう
でも直輝は絶対俺が言ったみたいに
俺を傷つける言葉は言わない
喧嘩しててもどれだけ頭に血が上っていても
直輝はいつだって俺に優しいのに
俺はいつも……
「……はー……も、本当馬鹿野郎は俺だろ……」
枕に顔をうずめて行き場の無い感情を吐き出す
明日の朝も話してくれなかったらどうしよ
そうやって色々不安な事は浮かんでくるし
悲しい気持ちも薄れもしないのに
睡魔は段々と襲いかかってくる
「……明日……謝ろ……」
意識を手放す寸前
舌足らずになりながらも自分に言い聞かせ呟くとぷつりと眠りに落ちた
◇◇◇◇
「……ん」
ゆっくりと眠りから覚める
まだ眠っていたい体を起こして
なかなか開かない目をパチパチと開くと窓から差し込む朝日が目に染みた
「……あ、れ。 直輝は……?」
いつもなら横に居るのに直輝が居ない
どうしたんだろう
そう思ってベットから降りるとリビングへと向かう
リビングへと繋がるドアを開けて中を見ると誰も居なかった
「……あ」
そうだった……
俺昨日、直輝と喧嘩したんだ
段々とハッキリしてきた頭に記憶が蘇ってくる
夢じゃなくて現実だった事にガックリと体から力が抜けた
だけどそれもふと見上げた時計を見た途端
嫌でも体はフルスピードで動かざる負えなくなる
「嘘だろ……遅刻しちゃう……!」
見上げた時計には起きる時間を優に超えて
寧ろ出るべき時間の10分前
ご飯を食べる暇もないし
猛スピードで身支度を整えると家を飛び出した
あのバカ直輝っ!
あいつ絶対昨日のこと根に持ってわざと起こさなかったんだ
またムカムカしてきた物を押さえ込みながらバイクに乗ると仕事場へと急いだ
「おっ、おはようございます……っ!」
「あら、祥くんおはよう」
「間に合いましたか……?」
「うん、全然大丈夫! 寧ろ早いほうよ。 荷物そっちに置いたらフロアで待ってるから」
「良かった……。 はい、向かいます」
時間通りに着いてほっと安心していた時後ろから笑い声が聞こえてきて誰かに背中を叩かれた
「朝から忙しいやつ」
「……直輝」
「今日は髪の毛括ってるんですね。 寝坊でもしましたか?」
「〜〜〜っ! 」
「ん? どうしました?」
「……ッそ、ですね。 お陰様でどこかの性格捻くれた人のせいで朝から慌ただしかったです」
「へえ、それは災難でしたね? お互い仕事頑張りましょうね」
「……ですね。 何も無い事祈ってますよ」
「ふっ」
バチバチと直輝との間に火花が散る
お互い始終笑顔のまま話すと
それぞれ仕事へと向かった
あの態度本当に人を煽るのがうまい
謝ろうと思ったのにそんな気無くなるほど直輝のうす気味悪い笑顔が腹立つ
1度拳でも入れてやりたかったぐらいだ
ああでもこれがずっと続くのは嫌だな……
やっぱり謝ろうかな
そう考えていた時
また別の誰かに声を掛けられた
「祥君おはよう!」
「篠田さん! おはようございます!」
「今日も宜しくね、ところで祥君」
「はい?」
「後ろに書いてある紙はわざと?」
「か、み……?」
直輝のマネージャーである篠田さんにそう言われてなんの事かとハテナが浮かぶ
後ろ? 背中に何かあるのかと見ていたら篠田さんが何やら俺に貼り付いていた紙を取ってくれた
「これ、本当なの?」
「へ?」
「……ぶっ」
「えっ、なんて書いてあるんですか?」
クスクスと震えながら笑っている篠田さんから紙を渡されて読み上げる
書いてある内容を理解した途端
顔がかーっと熱くなってどうしようもなく恥ずかしさで死にたくなった
「直輝……ッ!」
「ぶっ! あははっ! お漏らしって! あはははっ!」
「し、篠田さん!」
「ごめんごめん、でもっ、ぶはっ!」
「笑いすぎです!」
「だって、祥君が18にもなってお漏らししたって考えたら……っく! あはははっ!」
「〜〜〜っ」
「ふははっ、お腹痛いっ、……え? まさか本当なの?」
「ち、違います! そんな訳ないです!」
「だよね、はぁー直輝君も子供だなぁ」
咄嗟に嘘をついてしまった……
だけどこの紙の通り
『小日向 祥はこの前お漏らししました』なんて認めるわけには行かない
こんな、こんな事知ってるの直輝しかいないし
そもそも漏らすはめになったのは元はと言えばあいつのせいなのに……!
もう絶対俺から謝らない
直輝が始めたなら俺だってこのゲーム降りたりしない
直輝からごめんねって言うまでは
今度の今度は俺許さないからな
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