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撫でるその手
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「ふっ、ぎゅーしてやろうか?」
「い、要らない」
「本当に?」
「……」
「今素直になんなきゃこのままだぞ?」
「……っ」
「俺の可愛い祥ちゃんおいで」
「きもい……!」
「俺かっこいいけど」
「ーーッ!」
ニヤニヤ笑いながらさらっとそんな事を言う
言われなくたって直輝がかっこいいだなんて知ってるよ!なんて思うけど調子に乗ると困るから言葉を飲み込んだ
「祥ー? キスする?」
「しないっ」
「でも俺はしたいなー」
「し、知らない……。 勝手にすれば、いいだろ」
「ふふっ、うん。 勝手にさせてもらおうかな」
寝転んでいる俺を直輝が抱き起こして
腕の中に閉じ込めると今度はそんな事を言っておデコにキスをする
意地張ったままで気まずくてオロオロと視線をさ迷わせて居た時チュッと唇に直輝の唇が触れた
「祥口開けて」
「……」
「ほら、あーん」
「〜〜っ」
なでなでしながら直輝に優しい声で言われると簡単に言うとおりになってしまう
言われた通り口をちょっとだけ開いたらそのまま唇を重ね合わせてきた直輝の舌が入ってきた
クチュ、クチっ、て溶けるような優しいキス
ゆっくりと角度を変えて
だんだん息が苦しくなってきて気づくと直輝にしがみついて俺からも舌を絡めていた
「ふ……んぅ、んっ」
「……ん、機嫌直った?」
「うん……」
「良かった」
こくん、と頷くと直輝がギュッと抱きしめてくれる
薄い毛布を被ったまま抱きしめられているから暖かくて落ち着いて直輝の胸の中で眠りそう
とん、とん、て優しく心地いいリズムで背中を叩かれてふわふわと睡魔が襲ってきた
「祥眠い?」
「うん」
「一緒に寝る?」
「……うん」
「祥……酷いことしてごめんね」
「……」
「体痛いよな」
「……だいじょうぶ」
「……」
「ほんとに、大丈夫だよ。 それに俺もごめんね? 爽さんとは何も無いよ……ただ肩甲骨の事は本当に覚えてなくて……明日爽さんに聞いてくるから」
「いや、祥は行かなくていい」
「なんで?」
「爽って怒られるの大嫌いなんだ。 だからあいつ俺にガミガミ言われるの嫌で祥を使って言い逃れするか何か考えてるから、行くなら俺と一緒に。 一人で爽の所に行くな」
「あははっ、なにそれ爽さん子供みたい」
「子供なんだよ」
「……直輝」
「ん?」
「あのさ俺、ガリガリだし。貧相だし女の子にはなれないし。 直輝は女の子が好きだって知ってるし……」
「うん」
「お、俺じゃあ物足りないって思うかもしれないけど……っ! 俺沢山頑張るし直輝の事俺よりも好きな子なんていないってくらい大好きだから……っ、だから……」
「……っ、ふ、あははっ」
頑張って頑張って、
必死に話していたのに直輝が急に笑い出す
何かおかしい事を言ったのか不安になって
変だったのかなって恥ずかしくなってきてブワッと顔が熱くなった
「な、なんで笑うんだよ……っ!」
「ふふっ、だって一生懸命だし、てか俺1度も女が好きとは言ってないのにさ」
「へ……? だ、だって昔は……」
「それは俺達が付き合う前にお風呂で話したろ? 祥の事ずっと好きだった。 言っちゃ悪いけど誰と寝てもいつも祥の事ばっか考えてたよ」
「え……、ええっ……!」
「まさか今更理解したのか?」
怪訝そうに聞いてくる直輝を見つめながらブンブンと頭をふる
だってずっと直輝は女の子が好きだと思ってたし、俺のこと好きなのは聞いたから納得してたけどでもやっぱり女の子の方が好きなんじゃないかってずっとずっと不安だった
「何度も言ってるだろ。 祥が好きなんだよ俺は」
「〜〜っ」
「逆に言えば祥だって俺がこうやって告白しなきゃ普通に女と付き合って結婚してたろ。 後悔してないかって思うよ」
「し、してないよ! 俺は……直輝の恋人になれたの嬉しいよ」
「ふっ、だったら嬉しい。 俺だって不安に思ってる、祥も前は女の子とエッチしたりキスしたりそれが普通だったろ?」
「え……あ、うん」
「……?」
「な! 何でもないっ」
直輝の急な言葉にビクッとしてしまう
これは流石にバレたくない
例え幼馴染みでも恋人でもある大切な人だとしてもだ
「なあ祥。 そういや俺聞いたことなかったけどさ」
「な……なんですか……」
「祥ってさ、童貞?」
「違うっ!」
「……童貞なんだ?」
「ばっ! バカ! 違うってば!」
ぐいーっと顔を近づけてくる直輝の胸を押し返す
あ、あ、もう……
もう、本当最悪だ
「祥童貞だったんだ」
「うるさいっ! 何度も言うなよっ」
「1回くらいはしてると思ってたけど、へえ〜チェリーボーイのまま処女だけ卒業しちゃったんだね?」
「お前のせいだ〜っ!」
ニヤニヤして嬉しそうに笑っちゃって腹が立つ
俺だって自分がまだって事
気にしてるし恥ずかしいとも思うしとにかく誰にも言いたくなかったのに
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