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撫でるその手
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大きく振り回した手はパシンっといとも簡単に掴まれて、ハッと驚く間もなく強く引っ張られると直輝の胸の中に倒れ込む
今度は横向きじゃなくて向き合ったまま抱き合った状態で
真っ赤な顔を隠したくて俯いていたら腰をグイッと抱き寄せられて頬をひと撫でした後顎を掬われた
「祥大切にする」
「えっ、何……急に……」
「全部、一生、死ぬまで面倒みるし祥だけを愛すよ」
「ばっ、バカ! 何恥ずかしい事言ってんの……っ」
「本気だよ。 絶対、絶対に幸せにする。 誰よりも幸せだって思わせるから俺とずっと一緒にいて」
「〜〜っ」
「ダメ?」
「だっ、だから……ッ」
「……」
顎に手を添えられて腰を抱かれて
全く逃げ場がない
グイグイと胸を押し返していたけど
直輝の真剣な態度から今逃げたら駄目な気がして
震える手でキュッと直輝のシャツを握ると頬に添えられている手の上に俺の手を添えてまっすぐ見上げた
「……だから。 俺だけが幸せじゃダメじゃん」
「え?」
「俺も、直輝も幸せじゃなきゃ意味がない。 俺だって男だよ? 好きな人幸せにしたいって思う、愛したいよ沢山。 おじいちゃんになってもずっと、ずーっと直輝を愛したい」
「……祥」
「俺も、直輝に幸せになって欲しい」
「祥といれたらそれだけで幸せだ」
「だったら嬉しい。 俺も、一緒」
「沢山思い出を作ろう。 大人になって、俺本気で頑張るから外国に行こう。 日本はまだ簡単には俺達を受け入れてくれなくても世界は色んな人がいる」
「あははっ、急に夢みたいな話になったね」
「夢じゃない。 現実にする。 その為に俺最高のモデルになるよ」
「……、っうん」
「誰にも馬鹿にさせない。 俺達の関係。 祥が悲しまなくて良いように付き合っている事隠さなくて良いように」
「うん……、うん……ッ」
「今はまだこんな餓鬼だけど……、約束する。 絶対実現させるから」
「……期待してる」
「ふっ、ボーっとしてたらあっという間だからな」
目の奥が熱い
鼻がツンとして
じんわりと胸が締め付けられる
未来のことを当たり前のように話してくれる直輝の真っ直ぐさを信じたい
今こう思っていたって
先のことはどうなるか分からないのに
それでも直輝が言う事は本当に起きちゃう気がして涙がポロポロと零れた
好き、大好き
目の前で笑うこの人を大切にしたい
ずっと、ずっと、直輝が優しく笑っていられる為なら俺だって何でも出来る
痛いことも辛いことも悲しいことも
一つ一つ乗り越えられる
「祥、愛してる」
「……俺も……愛してる」
ふわり
抱き寄せられて唇を重ねる
俺の涙が止まらなくて
直輝が優しく拭いながら微笑んでくれて
そしたらまた一層零れて止まらない
好きすぎて幸せで暖かくて
こんなに優しい涙がある事知ったのは
直輝のおかげで
直輝を好きになったこと後悔する事なんてない
――愛してる
こんなに重くて綺麗な言葉
嘘偽りなく初めて伝えた相手が
直輝だったこと心の底から誇りだと思えた
「明日早いし一緒に寝よっか」
「……うん」
「それともエッチする?」
「しばくぞ」
「じょーだん、でもちょっとムラムラしてる」
「おっ、お前なー!」
少し、いやかなり変態の魔王みたいなやつだけど
それでもこの時間も
この言い合いも
ぶつかり合う喧嘩も
何もかもが大切だって
俺達の形なんだってそう思った日だった
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