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指令は?
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◇◇◇◇◇◇
「直輝行くぞ」
「はいはい」
午後の部は逃げんなよなんて言いながら聖夜が直輝を連れていく
直輝はめんどくさいと言いたそうだけど
何だかんだ大人しく聖夜のあとをついて行った
……心臓が暖かい
直輝が馬鹿みたいに真っ直ぐ好きとか言うから
美味しいって本当に嬉しそうにおにぎりを食べるから
お陰でこっちまで調子が狂う
怒ってた筈なのになぁ……
意地悪なんだけど
飄々としていて掴み所ないし
幼馴染みの俺でもたまに手に負えないし
本当に急に子供みたいな素振り見せるけど
やっぱりどこか達観してて大人で……
直輝のいろんな顔を見てきたけど
ああやって素直な笑顔を見るのはまだ慣れなかった
どこか含んだ笑でも意地悪な表情でも
優しくて切なくなるような笑顔でもなくて
純粋な素直な笑顔と、言葉
自分でもわかってるほど天邪鬼だし
逆の態度ばっか取っちゃうけど
直輝がいつもその壁を壊してくれる
俺も言いたいな、とか思うぐらい
恥ずかしくて堪らないけど
直輝にちゃんと伝えたいなって
そう思わせる様な素直な笑顔がまだ脳裏に焼き付いてて
美味しいって言った笑顔があんまりにも幸せそうで
思わず俺も言っちゃった
「……兄貴」
「へ?」
「直輝君前より全然優しい顔するようになったね」
「……なんだよそれ」
「……兄貴も前より楽しそう」
静かに隣にいた陽が話す
ハル君と仲良くしているから
俺達の事見えてないと思っていたのに結構目ざといもんだ
ほんのちょっぴりいたずらな笑顔を浮かべて陽が笑うからまた恥ずかしくなってきた
「直輝君、兄貴のこと大好き」
「なっ! ば、ばか!」
「兄貴も、大好き」
「陽?!」
「ふふっ、俺もそんな二人見てるの好き」
「……はぁ」
いつの間にか弟にからかわれるなんてなぁ
珍しく笑顔を浮かべている陽の猫っ毛を撫でてやる
お兄ちゃんも、嬉しいよ
お前にハル君って大切な人が居るのが
俺と同じくこんな気持ちになれる相手がいる事が
「ありがとね」
「ううん」
「俺も陽が幸せそうで良かったよ」
そう言って笑いかけたら
もっと笑顔を浮かべて陽が笑う
その横でハル君も柔らかい笑み浮かべてて
こんな時間がずっと続けばいいって思った
皆幸せで、皆笑顔で
そんな時間がずっとずっと続いて
大切な人と手繋いでいつまでも生きていけたら
それってきっとありきたりでも
最高の幸せだよなぁ、なんて
そんなこと考えながら聖夜と何か楽しそうに話している直輝を見つめる
次は騎馬戦だっけ?
ゾロゾロとグラウンドに集まった男子生徒達がガヤガヤと何やら楽しそうに話している
こう見ていると俺達って赤の他人で
二度と会うこともない他人で
でもその大勢の中に
大切な恋人と親友がいる
不思議なもんだ
もしかしたら、俺はこのふたりと関わることがない人生を送っていたかもしれない
そしたら他の誰かを好きになって
直輝が言うように普通に女の子を好きになって
直輝も普通に女の子を愛して
お互い他に大切な人と笑いあってた?
そう考えたらちょっぴり怖くなった
直輝がいない人生って少し考えられないな
いや、かなり考えられない
だって俺の人生大体占めてるのは
あの変態バカだから
しゃくだけど今はもう直輝がいない人生なんて
俺じゃないみたいって思うぐらい
そのぐらい直輝って俺の体の一部みたいなんだ
こんなこと言えるわけないけど
『次の競技は騎馬戦です』
ふっ、と物思いにふけていたらアナウンスが流れる
それから直ぐに中央にいた男子生徒達がジャージの上を脱ぎ出した
騎馬戦の時って大概どこでも脱いだりするもんだよな
そんな事考えていたけど
直輝と聖夜が脱いだ途端ギョッとするほどの黄色い声が湧き上がって苦笑いが零れる
「……凄い人気」
キャーキャーってあっちこっちから声が聞こえて直輝と聖夜が2人で何やら話しながら笑う度に声量は増えていく
当の本人達は全く気にすることも
気づくこともないのか2人だげで話していて
ほんのちょっぴり妬いたりも、する
でもそんなこと考えていたら
直輝が俺の方見て手を振ってきた
……俺?
朝みたいに勘違いだったらやだなぁ
手を振り返すかなやんでいたら
大きな声で「祥ー」なんて呼んでくるから思わず反射でうるさい!なんて言ってしまった
それでもまだ笑顔でぶんぶん手を振るから
小さく振り返したら嬉しそうに笑っちゃって
それがあんまりにも直輝に似合わなくて
俺まで釣られて笑ってしまった
そうしてる間に競技の準備が進んでいく
ワーワー歓声が響いて男子生徒達が一気に競い出して迫力が凄い
まさに裸と裸のぶつかりあいって感じで
終わりの笛がなる迄皆大盛り上がりだ
勝負の結果は直輝と聖夜の赤組の勝利で
ワーッと歓声が再び上がった
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