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撮影旅行
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***
「祥さん来てください」
無事に撮影現場に着くと
待ち構えていた結葵君に手を握られてまだ皆が集まってお喋りをしている空間から遠ざかる
行き先も告げずに歩みを進める結葵君に不安が募って口を開こうとした時、先に話したのは結葵君だった
「頼みがあります」
「え?」
「祥さん特殊メイクできますか?」
「へッ、特殊メイク?」
「そうです」
「専門家には劣るけど……それなりには一応勉強したから出来るよ」
「……そうですか良かった」
「……」
ギリギリと痛いほど手首を掴んでいた結葵君の手から力が抜ける
いきなり特殊メイクだったり
ホッとしていたり何かあったのかと思っていたら着いた先は俺達が宿泊するホテルだった
「撮影始まる前にやらなきゃな」
「え、え? ちょっと結葵君説明してくれなきゃ分からないんだけど!」
「……煩いです。 早く部屋入って」
「……」
「早く」
「はぁ……分かった。 それで何──」
「……」
「な、なんで脱いでるの……ッ?」
結葵君の部屋に入るなり
後ろにいた彼が服を脱いで近づいてくる
白くて細いのに均等の取れた
筋肉がついた体が露になって喉がギュッと締め付けられた
「……祥さん」
「結葵君……ッ、無理……!」
「ふっ」
どさりと背中からベットの上に押し倒されて冷や汗が伝う
バクバクと煩いぐらいに警告を知らせる心臓と今すぐここから逃げなきゃと体をばたつかせようとした時クスクスと笑い声が聞こえてきた
「ふふっ、何想像したんですか?」
「へ……?」
「犯したりしませんよ。 今はね」
「お、犯……!」
「何間抜けな顔してるんですか。 嫌なふりして本当は抱いて欲しかった?」
「いい加減にしろ!」
「……」
急な展開の続きに目がグルグルとまわる
バカにしたような口調の結葵君を押しどけてベットから離れようとした時、後ろから手首をつかまれた
「帰る前に仕事してください」
「は?」
「この跡、隠して欲しいんです」
「この跡? ……え、なに、どうしたのこれ……」
「……」
トントン、と背中を指さして結葵君が後ろを向く
代わりに見えた結葵君の背中を見て
心臓がズキズキと音を立てた
この光景を見たことがある
この傷も、この色も、この肌も
陽と同じ傷跡だ
幾つも幾つも浮かび上がる傷跡
誰かに虐げられて残る消えない傷痕
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