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これからのこと
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◇
「ちゃんと寝てろよ、熱下がってないんだから」
「……」
空港から俺の家に帰ってきて直ぐ、直輝の目の前で熱を計らされた俺は案の定直輝に怒られた。正しくは怒りたいのを我慢して、呆れたような、困ったような溜息の後に、ほっぺたを抓られたんだけど。
「寝れない」
うん、寝れない。寝れるわけがない。だってやっと気持ちを伝えられて、ほっとして今目の前に直輝がいるのに寝ちゃうのが怖い・・・・・・。起きた景色に直輝が居なくて、今見ている全てが夢だったらと思ったらじんわりと嫌な汗が吹きでてくる。
「祥? お腹空いてる?」
「え?」
「腹減ってない? コンビニで何か買ってくるよ」
「や、やだっ!」
「ッ!」
俺が眠るベットに腰掛けていた直輝がそう言って立ち上がった途端、反射で伸ばした手は直輝の手を握りしめていた。急に多きな声を出したから、案の定直輝も驚いた顔をしていて何とも言えず恥ずかしい空気に耐えられない俺は、そろりと手を離すと静かに布団の中へと潜り込んだ。
「祥?」
「……」
「……祥ー?」
「……」
「しょーちゃん」
「……なに」
背中を向けて壁側を向いている俺の体を直輝が布団の上から丸めて抱き寄せる。するとさっきまであんなにズキズキしていた心臓の痛みが和らいできて、俺もいつの間にか直輝の腕にしがみついていた。
「お腹空いてないなら一緒に寝る?」
「え?!」
「どうする?」
「へ……や、い、要らないっ……」
尋ねてくる直輝の形のいい唇に目が向いて、過剰に意識してしまう。
キスが出来るほど顔を近づけると色っぽい目でわざと見てくる直輝の顔を手のひらで押し返した。きっと俺が思ってる事なんてお見通しなんだろう、でもバレていても恥ずかしい。寂しくて一人になるのが怖いだなんて、そんな恥ずかしいこと言えないし、知られたくない。
だから、両手で直輝の顔を押し返していたら不意に手首をつかまれて呆気に取られている間に直輝の赤い舌がぺろりと指と指の間を舐めあげて驚く。
途端にビクッと跳ねる体と、思わず零れた甘い吐息にギョッとして手を引きたいのに、それをさせまいと直輝の舌は指の形を舐めとるように動くから俺の視線は逸らす事が出来ないまま直輝の口元へと注いでいた。
「な、なおっ」
「んー?」
「くす、ぐった……い、やめろっ!」
「ふふっ、んー。 辞めていいの?」
「当たり前だろっ……な、舐めるなバカ……」
「でもこれで夢じゃないって分かっただろ?」
「へ?」
「こんなヤラシイのが夢だったら、祥はエッチな子だね?」
「〜〜ッ!」
バクバクと心臓が急に早鐘を打つ。人を弄ぶようなその視線も、わざと煽るその言葉も変わっていなくて、少し掠れた甘い声が耳の中へ入り込む度に胸の奥が強く脈打つ。
もう、なんで直輝は・・・・・・
直輝がわざとこんな事言ってるなんてわかってる。けど、三年ぶりに見る直輝はやっぱり昔よりも遥かに大人っぽくて色っぽいから、見ているだけでクラクラしてきた。
「も、もう無理……っ、離してっ」
「なんで?」
「い、嫌だから! 嫌だから離せってば!」
「嫌なの?」
「あっ……」
しまった・・・・・・つい、口走ってしまった。
嫌なんて微塵も思ってもいない。ただ恥ずかしくて、一人で直輝に見惚れてるのとか馬鹿丸出しなのが嫌で、だからそんなつもりじゃなかったのに直輝は悲しそうな顔をして手を離す。
「嫌なら辞める」
「え……っ、ちが……」
「じゃあゆっくり寝なよ? 俺は下に居るから何かあったら呼んで」
そう言って立ち上がった直輝がドアへと向かう。
どうしようまた傷つけた?また、直輝に嫌な思いさせた?
グルグル回る後悔とさっきの悲しそうな直輝の姿に胸が締め付けられて、気づいた時には直輝へと腕を伸ばしていた。
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