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これからのこと
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「そこ、違う」
「おデコ違うの? じゃあ、ここ?」
「んっ、違ぁ……鼻も、違う」
「ふーん、だったらほっぺた?」
「直輝っ」
「ふふっ、嘘だよ。 頑張ったんだから俺からしてあげる。 口開いて?」
「〜〜っ、やッ」
「じゃあしない」
「だ、だめっ!」
「なら早く、お口あーんして?」
「……っふ……あー……」
「いい子」
祥の髪を指に巻き付けながらうなじを撫でるとゾクゾクと体を震わせて、小さく小さく、その可愛い口を開く。ふ、と目を細めて微笑むとそれだけでとろんと目尻を垂らした祥の唇に噛み付く様なキスをした。
「んぅっ、は……っんー、ふぁ」
「ん、……」
「なお、ふぅ、っ……、んぁっ」
狭くて小さな祥の口内に舌を滑り込ませる。逃げ回る熱い舌を無理矢理に絡めて舌先で弄ぶと、あんなに逃げていたのが嘘のように祥から舌を絡ませてくる。
「ふぁ……っ、アっ、や」
「んー……、ふはっ、祥ちゃんやらしい顔してるよ」
「もっ、無理ぃ」
見下ろせばぷるぷると祥の足が震えている。腰に回す俺の手だけが今、祥が立つことを助力していて自分の力じゃ立てない体はふにゃりと胸に倒れ込んできた。
「腰抜けちゃった?」
「え、エッチなキス直輝がするからっ」
「そうして欲しかったのかなって」
「言ってない!」
「じゃあちゃんと口で言わない祥の自業自得だな」
「〜〜っ!」
ぽや〜んとしたり、ムッとしたり、本当にころころ表情の変わるやつだ。
でもそんな祥を見て内心ホッとしていた。三年間離れるなんて俺達の関係で初めての出来事でもあったから尚更長くて重い時間だった。だからその間にもしも祥が変わっていたとしても、俺はそれを咎めることも出来なければ人が時間と共に変わることを否定することだっておかしな話で。
昔はこうだった、昔はそうじゃなかった、そんな今生きてるその人を否定する様な言葉は言いたくはない。けれど三年間の溝がある中、三年前の記憶で止まる俺の中の祥が、変わる時間の中で、変わらないまま居てくれた事に心から安堵をするし、その間祥と関わってくれた人達にも感謝をしている。
「少し寝たらちゃんとご飯食えよ?」
「……」
「コンビニには行かないから、家の冷蔵庫にあるもの借りていい?」
「ッ! うんっ! うん、使っていいよ!」
「あははっ、コンビニ行かないのがそんなに嬉しいの?」
「ち、違うし何言ってんだよ。 もう寝るっ」
「はいはい。 お休み祥ちゃん」
わかりやすく喜ぶ祥に尻尾が見えて思わず笑ってしまえば、ムッとした祥に肩を叩かれる。
その恥ずかしくなると手が出る凶暴さも変わってないのな。なんて思いながらぽんぽんと腕の中で眠る祥の背中をさすってやれば、さっきまで煩かったのが嘘のように眠ってしまった。
「……クマ、出来てる」
俺の胸に顔を埋めて眠る祥の顔を見つめるとよくよくわかる。しっかり眠る事が出来ていなかったんだろうって事が。
いつだったか、祥が独りじゃ嫌な夢を見て眠れないことを知ったのは。確か小学校の林間学校か何かだった記憶がある。その事に気づいて以来は、家で一人なんて日には必ずといっていい程泊まりに来ていた。
大人になったなぁ・・・・・・
そんな昔を思い出すとしみじみ考えてしまう。高校生の頃とは違うあどけなさの消えた雰囲気には、大人っぽい色気がある。
目尻にある泣きボクロが一層色香を惹き立てているのを見て俺がいない間に一体どれだけの奴が祥に触ろうとしたのかと考えたら胃の底が黒く染まる。
俺の恋人ではあっても、俺の"モノ"ではないんだから過度な嫉妬は重いだけなんて事は重々分かっているのにどうにも祥への独占欲は三年の間に治るどころか悪化しているんだからどうしようもないものだ。
「祥……」
スヤスヤと寝息をたてて眠る祥の綺麗な横顔を見つめて名前を呼ぶ
「好きだよ」
胸に溢れかえる抑える事の出来ない気持ちを言葉にすると、眠る祥の口元が緩んだ。照れた時と似たその表情にどんな夢でも見てるのかと思ったが、幸せな夢ならそれでいい。
熱で火照ってる祥の体を抱き寄せて暫くの間、夢じゃない事に浮かれながらずっと寝顔を見つめていた。
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