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これからのこと
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祥が眠り出してから暫くして、起こさない様に注意を払いながらこっそりとベットを抜け出すと一応の為にメモ書きを残しコンビニへと買出しに出ていた。
必要なものだけをさっさとカゴに詰めるとレジへと向かう。
「ありがとうございました。 またお越し下さいませ」
あっという間に商品を袋に詰めて俺へと手渡す店員を見て、手馴れたもんだなぁなんてありきたりな感想を思い浮かべながら、元気な声を出す店員の声を背にコンビニを出ると祥が起きる前に戻るため急ぎ足で家へと帰る。
熱が酷くなった時に何も用意してないのは困るから念の為に寄っておいた薬局で、解熱剤も買ったし大丈夫だろう。
それでもダメなら夜間の病院に連れて行けばいいし、でも出来れば苦しまなくていいようにあまり高熱が出ないで欲しいと心配に思いながら、空きっ腹でも食べれるように胃に優しいスープを作る事にした。
それからスープも出来上がった頃、二階の祥の部屋であろう場所から物音がしてくる。
起きたんだと分かって俺もリビングを出ようとした時、二階から一階にかけて転げるようなけたたましい音がして慌てて駆け出した。
「祥ッ!」
「っ、ふ、ッうう」
「怪我は!? どこも打ってないか?」
「なお、ッグス……直輝ぃ」
廊下を見れば、階段の下で蹲る祥がいて、落っこちたんだと見てわかった。
心臓がヒヤリとして名前を呼びながら駆け寄ればグズグズに泣き出す寸前の祥が俺を見るなり顔を歪めて飛びついてきた。
「痛い……? 病院行く?」
「うぅっ、なおきぃ、なおきぃッ」
首に腕を回して俺の肩口に顔を埋める祥の背中を抱きしめてやれば、とうとう幼い子のように、うわぁんうわぁんと泣き出す。そんな祥に驚いて慌てて背中をさすってやるけど、収まるどころか酷くなる一方だ。
「祥どうした? どこか打った?」
「ウゥ……っ、ぐすっ、バカ直輝ぃ」
口開けちゃって泣いちゃって、本当子供の様に泣きべそかいて大きな涙を零すから思わず笑ってしまう。
ああ、そっか、そういう事か。
祥が漏らした馬鹿の一言で何となく理由が分かった俺は、そのままぐずる祥を抱きかかえると寒い廊下から暖かいリビングへと移動した。
「俺が居なくなったと思ったんだ?」
「うっ、うぅっ、居なかったぁ……っ!」
「リビングにいただろ?」
「一緒、に……ッグス、寝るって言ったのにぃッ……! う、っう」
「あははっごめんって祥、泣かないで」
熱のせいでか涙腺が緩くなってるんだろう。わかりやすく弱ってる祥を横向きにしてソファへと腰かけると足の間に座らせて泣き止むまでそのままずっと一緒にいた。
「落ち着いた?」
「……」
「スープ作ったけど食べる?」
「…………」
でも泣き止んだ所で機嫌はめっきり悪いまま。何話しかけてもツンとしたまま俺を見ようともしない。
「熱が高くなったら困るだろ?」
「……困らない」
「困るよ」
「なんで」
「祥が苦しいだろ」
「……直輝は苦しくないじゃん」
「祥。 怒るぞ」
「ッ、……だって、どこにも行かないって、約束したのに……ッ」
「泣くなってば、ちゃんと帰ってきただろ?」
「嘘ついたぁッ……!」
祥のトゲのある言い方に俺も同じく返すと、流石に言い過ぎたと思ったのか弱々しく文句を言う。いつもなら絶対に有り得ないだろう子供みたいなその姿が可愛くて、むくれてほっぺにキスをしておデコを合わせて見ればさっきよりも熱が高い。
拗ねていてもいいからとりあえず薬を飲ませる為に立ち上がろうとした時、ビクリと肩を揺らした祥が怯えた顔をした。
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