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これからのこと
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「んーでもさっき約束したんじゃなかった?」
「……した」
「だよな?」
「でも……まだ寝たくない」
「……」
「ダメ?」
「……おいで。 我侭しょーちゃんには勝てないな」
毛布に体を包んで小さくしながら横目で伺ってくるから降参の印に手を広げて祥を迎え入れる。
途端にパァと顔が明るくなった祥は、さっきみたいな横向きでも、膝の上に乗って俺に背中を預けるでもなく、向かい合って膝に跨りそのまま胸に顔を埋めてきた。
「直輝の匂い好きぃ」
「俺は祥が好き」
グリグリおデコを擦り付けてくる様は正に子犬が遊んでとじゃれているみたい。
俺も同じようにふわふわな猫っ毛におデコをくっつけてみれば嬉しそうな、照れたような、そんな心がくすぐられる笑い声が聞こえた。
「そういや猫は?」
「ネコ……?」
「しーちゃん、どこだ?」
「……」
思い返した猫の存在に気づいて見渡しても姿は見えない。
気になって聞いてみれば潤んだ瞳が上目遣いで見上げてきた。
熱と睡魔に浮かされた祥の瞳は水面に綺麗な硝子玉を落としたように綺麗で、瞳が合う度に一瞬息が止まる。
綺麗で思わず覗きこみたくなるしまたキスしたくなる。
でもキスすればさっきと同じ事になりそうで、何より我慢するのも結構厳しい。
さっきも祥とキスしながら聖夜に昔、罰ゲームで着せた女装姿思い返して興奮を止めてたんだから、それこそ何の罰ゲームだって話だ。
目の前には可愛くてどうしようもない天使が居て、脳裏には口調の悪い金髪ムッツリ。
それはもう勘弁したい。
せめて明日。せめて明日迄は堪えろ。
「ここいるよ?」
「え?」
「ネコの、しょーちゃん、ここいるよ?」
「……」
なんて言い聞かせていたのにピシャリと一瞬、俺の周りだけが止まる。
ああそうだな・・・・・・。
確かに祥はネコで、しょうちゃんだよ。
でも俺が聞いたのは「猫」の「しーちゃん」だ。
真っ白な毛で四足で歩くネコ科の猫であって目の前の祥じゃない。
分かっているけど、分かっていても、「直輝のネコだよ」なんて満面の笑みで言われたらそれってもう本当生殺し以外の他はないと思う。
「祥、俺のことからかってる?」
「なんで?」
「……」
「俺、悪い子?」
祥には悪いけど少し威圧的に聞けば怒られると思ってるのか小さな仔犬の様な瞳で見上げてきた。
わざとじゃないのは分かってるよ。
祥はこんなあざとい誘いが出来るほどの計算高さは兼ね備えてないし。
だから尚更困るんだ。
全て無自覚のまま天然を発揮した甘えっぷりに翻弄されて、いやらしさが無いから尚のこと気持ちが上乗せになる。
はぁー、と長く溜息を零して脱力感のまま前のめりに祥の肩へとおデコを乗っけた。
ほんと・・・・・・辛いなこれ。
俺だって今すぐ祥をめちゃくちゃ抱いて俺のモノにしたい。
全身にキスして蕩けた祥にそれでもまたキスをして、三年間を少しでも埋めたい。
「……指噛まないの」
「んぅ、いや」
「……」
人の手を使って手遊びをし出した祥が人差し指に歯を立てる。
寂しくなる時、甘えたいけど素直になれない時、かまって欲しい時、良く噛んで来てたけどその癖まだ直ってないんだな。
祥にもたれかかったままチラリとそっちを見遣れば、ガジガジと噛んだ後に、慰めてるのかペロと赤い舌が指の上を走る。
そのまま腕を持ってかれて、何をするのかと思えば祥は俺の指を熱い口の中へ誘い込んだ。
「……祥〜」
「んぅ?」
「俺のこと誘ってるの?」
「ーーッ!」
空いた手を腰に回しながら思わず漏れた声は低い声。
祥を落とす時に出すようなそんな俺の声に祥がピクッと体を震わせる。
その反応を見て、ああまだ体は俺のことしっかり覚えてるんだと解った途端口端が上がるのがわかった。
ゾクリとしたものがかけ走って、祥の口内に咥えられた指で口蓋を撫であげる。
急に意志を持った俺の指に驚いた祥が口から吐き出そうとしたのを塞ぎ止めるとグニグニと舌を二本の指で弄んだ。
「指舐めちゃうなんて祥はいつからそんなエッチな子になったの?」
「んっ、ふぁ、うぅん」
「舌虐められてるのに気持ちーんだ?」
「ぁッ……んぁっ、う、ぅぁ」
熱くて吸い付いてくる口内を掻き回すと飲みきれなくなった涎が口の恥からテラテラといやらしい光を放って顎を伝う。
喉を伝い溢れでたソレを、喉仏に噛み付いて舐めあげると甘い声をあげる口の中へ指と交換に舌を潜り込ませた。
「んーっ、ふ、んぁ……っんう」
ゆっくりと味わう様に舌を絡めて口蓋を舐めあげる。ビクビク震えて跳ね上がる腰を抱き寄せながらそっとソファの上に寝かせるとキスを辞めて上から見下ろした。
「やらしい。 俺のこと誘ってんだ?」
「な、お……っ」
「俺言ったよな。 約束守る?って」
「ふぁっ、あっ、そこッ」
「なのに約束破るだけじゃなくて、甘えた声出してエッチな事迄するのは悪い子だね」
「あっ、ふぅ、ごめらさッ」
濡れた指をペロリと舐めて見下ろす。
シャツの下へ手を潜り込ませると触ってもいないのに勃ちあがっている突起を摘んだ。
背中を逸らして甘い声を上げた祥を見てもっと虐めれば、はふはふと息を繰り返す間に気持ちよさそうな声が上がった。
あーこのままじゃまずい。
歯止めが効かなくなる前に止めよう、今すぐ止めるべきだ。
そう思う理性と、止まらない欲望がギシギシとぶつかりあった。
「は……、祥」
「……んぅ」
「挿入れるよ?」
高校生もそうだけど、20代の頭も性欲は魔のようにある。
気づけば祥の強請るままに進んだ行為に、祥の体は赤く染まり、何度目かの絶頂にお腹の上には淫液で小さな水溜りが出来ていた。
解した孔に熱を押し付けていざ本番となれば少しばかり迷いが生まれる。
たっぷり時間をかけて何度も様子を確かめながらここまでゆっくり進んで来たけど、ふと気づいた事にまさか勘違いであってくれとは願わずにはいられない。
「……祥?」
「……」
「……。 寝てる」
「…………」
さっきまで甲高い声を上げて、手を離せばいやいやと首を振っていたのに、この寸前で寝落ちした愛しい人の寝顔を見て寸前で御預けをくらわされて脱力感に襲われた。
本当色気も糞も無い。
行為中に寝るなんて、昔と俺達変わってない。
昔もこんな事あったな。
その時は確か俺が寝落ちを繰り返していたんだっけか。
懐かしい過去を思い返して、マシュマロのようなほっぺたを優しく抓った。
「……ふっ、はぁー。 本当、俺振り回されてんなぁ」
グーグー幸せそうに満足な顔して眠る祥を見て何だか笑えてくる。
そりゃこうなったらもう笑うしかないだろ。
あんだけ煽っておいてここで堂々と寝れるんだから大したもんだよ祥は。
「おやすみ、祥」
眠る祥と二階に移動すると布団に潜り込む。
まだ幼い寝顔にキスをして、愛しい人を抱き締めて眠りにつく。
久しぶりに何だかしっくりとはまるような、満たされて心が休まる幸せな夜を迎えたとそう思った。
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