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テキーラ・サンライズ
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◇
「瑞生〜まだ拗ねてんのか?」
「うるさいし腰痛いしほんと最悪」
結局あの後、耀さんの上に倒れ込んだまま動けない俺は意識が飛ぶまでイカされ続けて挙句に耀さんがスッキリする頃にはベタベタだし記憶も無いし最悪な気分だった
「怒ってんだろやっぱり」
「しつこいなぁ。 怒ってないってば」
「嘘つけ〜、いつもなら今頃俺に頭撫でられてーーって痛てぇ痛てぇ! 蹴るなよっ」
「ねえ煩いから黙ったら?」
「へそ曲がりめ」
余計な言葉が多い耀さんの背中に狙いを定めてベットから蹴落とそうとすれば足首つかまれて押さえ込まれる。
それも何だか気に食わなくて振り払えばゆる〜い笑顔浮かべて煙草ふかしたその横顔が、ちょっとだけ焦ったのを見てほんの少しすっきりしたものの依然モヤモヤは消えてない。
「クリスマス一緒にいれねえけど夜は会えんだろ?」
「ああ、女と会ったあとね」
「……なぁ悪かったよ瑞生」
「……」
その話をこのタイミングで言う耀さんはほんっとに空気が読めない。相変わらずな鈍感さに溜息を零しながら壁側へと寝返りをうった。
顔の半分まで布団に潜ってさっきからチクチクする不快感に眉を潜めていれば耀さんが背中側から抱きしめてくる。
思わず反射で振り返って擦り寄りたくなったのを堪えると意地を張り続けた。
もう俺、ほんとに最近おかしい……
「客なんだ。 新店舗出す為の偵察だと思うからどうしてもその日は外せない」
「……分かってる」
「でも拗ねてる」
「はぁー。 もういいよ」
「……瑞生」
「違う。 今のもういいは拗ねて言ったんじゃなくて、もう辞めるって意味。 まだちょっと腹立ってるけど俺も子供過ぎたごめんね」
振り返って仲直りの印にほっぺたにキスをすれば、困った様な嬉しそうなそんな曖昧な笑顔が返ってきた。
俺もこんな子供じみた事でいつまでもへそ曲げてるのは嫌だからって意地であって、実際のところやっぱりモヤつく。
「俺は瑞生が好きだよ」
「……ん」
髪にキスをして抱き寄せる耀さんに身を任せて目を閉じた。
どうして今こんなに険悪かって、ことの発端は一ヶ月前のことだった。
あの日、ラブホテルで怜さんの事があってから今日まで数ヶ月。セフレじゃないけど恋人でもない曖昧な関係を続けていたけど、それなりに穏やかに過ごしていた。
でもここ一ヶ月耀さんの店に契約を持ってきた女性のクライアントがまさかのこんなおじさんに惚れたらしくて毎晩飽きずに誘いの電話の嵐。お陰でそういう雰囲気になっても中断が続いて欲求不満にもなるし、今更他の人と寝る気も起きなくて、好きとは言ってないけど嫌いじゃない耀さんといたいって気持ちは今も続いてる。
そんな触れずに見ないふりしてきた地雷が爆発したのはつい数時間前のこと。
貰った合鍵でいつもと変わらず耀さんの家に帰ってきた時、電話口でクリスマスの夜ディナーをする話を聞いてからだ。
恋人じゃないけどその日は二人で過ごす約束をしていたから、俺も俺なりに予定を組んでいたら、クリスマスまで一週間を切った今になって相談も無しのこの展開にこれまでの不満が爆発して喧嘩したままセックス。
お陰で気持ちはいいけど気持ちが追いつかないような、そんな消化不良のセックスをして今やっと、俺が俺らしくない事にもどれだけ耀さんを困らせてるのかにも気づいて何とか抑え混んでみたものの何だろこのモヤモヤは。
「直ぐに帰るよ」
「いいよ俺も誰かと飲みいくからその日はお互い別に過ごそ」
「……悪い」
「謝るぐらいなら何か埋め合わせしてよ。 ね、耀さん」
「ッん」
ああでもやっぱり耀さんが困った顔するのは嫌なんだな俺は。
この人には太陽みたいな笑顔が似合う。
意地悪したけど笑って欲しくて腕を回しながらキスをすれば真っ赤な顔したこの人がやっぱり嫌いじゃないと思った。
「風呂行くか」
「ふふっ、お風呂でエッチするの?」
「……今度は瑞生が黙るばんだな」
「耀さんほんとに元気だね」
散々ヤッた癖に太股に硬くて熱いのが当たる。
わざとグリグリと擦ってやれば目元を赤くした瑞生さんがあの意地悪な笑顔を浮かべて深いキスをしてきた。
「んっ、あ……んぅー、か、がりさんっ」
「瑞生好きだ」
「あははっ」
キスして髪に顔を埋めて子供みたいな姿に胸がぎゅうっとする。
ああやばい、ほんとに俺はおかしいみたい。
耀さんと一緒に居るともう凄い安心して落ちつく。
それだけじゃなくてもっとなんか名前の付けられない場所がずっと忙しなく締め付けられてそれはどんどん形を大きくしていく。
「耀さん抱っこして」
「おいで」
「おじさんなのに凄いね」
「お前な〜歳はいうなっての」
未だ腰が抜けたままで歩けないから両腕広げてお願いすれば簡単に抱き上げられてケラケラ笑ってしまう。
馬みたいだねなんて言ってみたらこの前怒られたけど、ほんとに馬みたいだ。
「耀さんは黒馬だね」
「だぁから人を馬にするなっつーの」
「後でお馬さんごっこでもする?」
「瑞生ちゃんはどうせ途中で動けなくなるだろ」
「うるさいなー」
クスクス笑ってると耀さんに鼻の頭を噛まれたからお返しに鎖骨に噛み付いてやった。
この時間が堪らなく心地いい。
けど、このままで居れないのは分かってる。
もういい加減耀さんの言葉に返事を出さなきゃならないから、その事を考えると何だか億劫になるのはどうしてなのかここ最近のモヤモヤは耀さんの笑顔を見てもやっぱり消えてはくれなかった。
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