アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
テキーラ・サンライズ
-
ドクドクと熱が放たれて瑞生がぎゅうっと一層強く抱きついてくる。
ピクピクと痙攣をする瑞生の身体を俺も優しく抱きしめておデコにキスをした。
「ん……っ」
「瑞生好きだ」
「俺、も……好き……ッ」
イッた後の瑞生は意地悪な顔も、余裕な笑みを浮かべること無く赤く染めた頬をふにゃりと崩して微笑んで口にする。
その素直さの可愛いことったらとんでもないほどの攻撃力な訳で、イッたばかりだと言うのに未だ繋がっていたくなる。
けれど瑞生の体を考えるならこれ以上は酷く怠さを感じさせてしまうだろうからと、抜こうとした時それを遮るかのようにギュッとしがみついてきた。
「まだ……このまま」
「……これじゃあ出かけるのは夜だな」
「……夜でもいいじゃん。 耀さんにくっついてたい」
「ふっ本当可愛い奴」
「んっ、アッ」
寝転ぶ瑞生を抱き上げてソファの背もたれに背中をあずける。
向き合い抱っこをしたまま体面座位に変えるときゅんっと中が動いた。
「キスしたい」
「どうぞ?」
「……さっき俺がしたから今度は耀さんからしてよっ」
「可愛いから瑞生にしてもらいたいんだけど」
「はぁ? さっきも俺だったんだから嫌だ。 早く、して、耀さん」
「はいはい、分かったよ。 口開けろ」
「んー」
ちょっぴりヘソを曲げつつも瑞生が嬉しそうに口を開く。サラサラで綺麗なグラデーションの髪色。アシメに切りそろえられたオレンジに輝く柔らかい髪に指を通すとそのまま優しくキスをした。
「ん、もっと……」
「瑞生」
「耀さんっ、あっ、幸せ……?」
「ッ!」
「今、幸せっ?」
「……当たり前だろ。 今が一番幸せだ。 瑞生と居るのが一番幸せ」
「よか、った」
とろん、と目を垂らした瑞生が嬉しそうに微笑む。
その笑みに心臓の奥が痛いぐらいに高鳴る。
ああ本当に愛しくて堪らない。
瑞生といて飽きるなんてことは無いんだろう。
どんなワガママもどれだけ強情でも瑞生だから好きなんだ。
面倒見がいい癖に甘えたな瑞生も、上に立ちたがる癖に酷くされたがりの瑞生も、知れば知るほど惚れていく。
「耀さんッ、あっ……また、イクッ」
「っ、は、好きだ、瑞生」
「あ……っ!」
止まらない愛情を伝えるように瑞生の名前を何度も呼んで、縋りつく瑞生を抱きしめて、そのまま二人重なりあい続けた。
◇
「やっぱり夜になったな」
「耀さんがネチネチしつこいせいだね」
「離さなかったのは瑞生ちゃんだけどな」
「もういいから。 それよりお腹空いた」
「店に食いに行くか」
「あ、俺耀さんのお店がいい」
「構わねぇけどいいのか?」
「ふふっ、うん。 俺あの店居ると落ち着くから」
眠りから醒めた時にはもう夜になっていた。モゾモゾと布団の中で抱き合いながら瑞生の言葉を聞いて頬が緩む。
新しい店は、瑞生をイメージしたんだ。
瑞生には言ってないからこそ今の言葉は嬉しい。
どこか洗練された暖色の暖かな空間。
親父のクールなデザインとはまた違う暖かなデザインのカフェはそこそこ人気でこの前は雑誌にも載せて貰った程。
どれもこれも瑞生と出会ってからの幸せだ。
「耀さん」
「ん?」
「耀さん長生きしてね」
「ふっ、ああ」
「約束したんだから長生きしてね」
「ああ。 守るよ」
「うん」
俺の胸に顔を埋めた瑞生が少しだけ寂しそうに呟く。大丈夫、と言う様に背中を優しく叩いて髪にキスをすれば瑞生がグリグリとおでこを擦り付けてきた。
「俺も今が一番幸せ」
「ふっ、どうした? 甘えん坊か?」
「……うるさい」
「今度の休み二人で予定合わせてどこか旅行にでも行こうか」
「え!」
「旅行、好きだろ?」
「……好き」
ぱあっと嬉しそうな瑞生を見てクスクスと笑が零れる。
瑞生と新しいマンションに同棲して色んな事を知りゆく中でも、驚いたことは、一度も旅行やどこかに誰かと出掛けたことが無かったってことだ。
それを聞いた時、二人の約束事を決めた。毎年必ず旅行に行こうって新しい約束事を。
今のところ一度もその約束は破られること無くこの前も二人で北海道に行ってきたばかりだ。それでも、もっと色んな所に連れてってたくさんの思い出を作ってやりたい。喜ぶ笑顔が好きで、はしゃぐ姿を見ると幸福感に包まれる。
今だってどこに行くかと落ち着いた声で話しながらも隠しきれない嬉しさを目に輝かせた瑞生の話を聞きながら、その可愛い唇にキスをした。
「んっ! 急になに?」
「いいや、可愛いなってな」
「は? 意味わかんないんだけど」
「はあー大好きだな瑞生の事」
「ちょっ、苦しい!」
ぎゅうっと力任せに抱きしめれば瑞生が不満気な声を上げた。でも、離してやる気なんかない。もうずっとずっとこの腕の中に閉じ込めて置くとあの日思ったのだから。
ふわりと脳裏に懐かしい記憶が、蘇ってきて小っ恥ずかしさに勝手に頬が緩めばそれを見ていた瑞生に頬を抓られた。
懐かしい四年前のあの日、シャワールームだびしょびしょのまま格好も付かねぇ様な情けない姿で二人抱き合って約束をした。
驚いた顔をした後の、微笑む暖かな瑞生の笑顔は今でも何度も思い返す。
『俺と……一緒に、俺の隣に居てくれないか』
『……言われなくても。 そのつもりだよ、バーカ』
後にも先にもいうことは無い言葉。
慣れない告白に、初めての人生で1度だけの本気の告白に震える声の俺を見て瑞生は強く手を握った後、真っ直ぐな瞳で頷いてくれた。はにかんだ笑顔と言葉を見て瑞生を好きになって良かったと心の底から思う。
先を見ればいつ終わるかと少し切なく思う気持ちと、隣を見れば幸せな笑顔を浮かべる愛しい人からの幸福。
そんな切ない幸せがこれからも続いて行けと、腕の中で笑う瑞生を見つめて強く願った。
いつまでも続く淡い愛情は、終わる日までとめどなくただ一人に注ぐ。
愛してる瑞生に、瑞生が寂しくならないように。
「瑞生」
「なに?」
「愛してる」
「ふふっ、俺も愛してるよ。 変な耀さん」
こんな甘ったるい人生も悪くない、そんな幸せな時間を瑞生と共に。
◇END◇
テキーラ・サンライズ
「熱烈な恋」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
363 / 507