アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
時間×距離=二人愛
-
「あっ、や……直輝ッ」
「いやじゃないだろ?」
「だ、っめ……んっ、んぅ!」
「嘘つき。 本当はここ、意地悪されるの好きな癖に」
「ひゃ、ッア、直輝っ……直輝」
俺の上で目元を赤く染めた直輝が艶美な色気を放って腰を打ち付けてくる。グチュグチュと大きく鳴り響く音に、肌のぶつかる音。直輝が髪をなでて額に瞼に唇に……優しくキスをするその動きに切ないぐらい胸が締め付けられる。
「な、お……っ」
「ふっ、ここに居るよ」
「や、っんあ、好きッ」
「俺も祥の事ーー」
『好きだよ』、耳元で囁かれた甘いハスキーな声に蕩けたキスを強請ったその瞬間、体はふわりと浮遊感に包まれ数秒後、ドスンッと大きな音と共に鈍い痛みが体を包んだ。
「……」
最悪だ
「……………夢」
最悪だ、最悪だ
「〜〜っ!」
今見ていたもの全てが夢だと気付き胸のトキメキも瞬時に弾けて消えゆく。
夢の中の直輝はとんでもなく甘くて優しい。それに俺も普段より全然素直に求めていて、チラリと下へ視線を持っていけば案の定そこは熱を持ち勃ちあがっていた。
「俺の変態……」
こんな目覚め方はないって程に心の底から溜息を漏らした。
直輝と離れてそろそろ一年が経つ。
直輝を見送ったあの雪の日から丁度一年、遠距離もそろそろ終わりになってくるに連れて俺は何を考えているのかこんな夢ばっか見ていた。
「し、仕事行かなきゃ……」
いい所だったのに……なんて思ってる自分に気づいてなおのこと罪悪感が芽生える。
まだ起きるには早い時間、もう一度布団の中に潜り込むと直輝に貰ったライオンのぬいぐるみを抱きしめて熱い顔を隠すように埋めた。
「う〜……はあ」
ジタバタもがいてみてやっと何だか心が落ち着きを取り戻してきた。高校生でもあるまいし一々こんな事であたふたしたりする方が恥ずかしいなんて分かってはいるけど見ている夢が夢だからかやっぱり胸のソワソワは止まらなくて、何よりも会いたい。
スマホの電源を入れて時間を確認すれば今はまだ朝の6時半。ニューヨークに居る直輝との時差は今は14時間だから向こうは夕方の4時半か……。今頃何をしてるんだろう。昨日の電話では卒業に向けて今は普段よりも忙しいと話していた。
「……電話したいなぁ」
表示された番号をぼんやりと見つめてそのタブを閉じる。なるべく直輝に負担はかけたくない。こういう寂しい時は大抵いつもやりとしたメールをみて満足していた。
実際のところもっと会いたくなるんだけど……。
あんなベタベタなくせに少し淡白な直輝は、メールもどこか素っ気ない。
元々携帯に興味も無い直輝にとってメールをこまめに送り合うのはきっと面倒な事なんだろうけど、この一年一度も音信不通になった事も途切れた事もなくてそういう行動から垣間見れる直輝の優しさに胸がまたジーンと締め付けられた。
電話だって俺の仕事の終わる時間に合わせて、生活リズムに合わせてくれているし考えれば考えるほど直輝は優しい。
傍に居るといつも意地悪ばっかでなんでこんな優しくないんだなんて思うけど弄ばれていても何かと気遣ってくれていることは知っている。
だからずるいよなぁて思うわけで。
本当に子供っぽいただの意地悪な奴ならこんなにドキドキしないんだろうけど、直輝はそうじゃないんだから堪らなく狡いと思って、そこが好きだとも思ってしまうんだから俺も末期だな。
「後二ヶ月。 後二ヶ月」
三月には卒業して日本に戻ってくるそうだ。
それまであと二ヶ月。たった二ヶ月で、まだ二ヶ月。待ち遠しいと思えばきっといつの間にか三月だろう。
この一年何度か直輝は帰ると言っては居たけど向こうでもしっかりとモデルをやっている生活は俺が想像する以上に忙しいみたいで、無理しなくていいと一年後に会う約束を守ろうと話をしてタイミングはあっても断っていた。
そんな感じで過ぎていった一年はあっという間で、何だかんだと言って俺達は上手くやっているんだと思う。
特に大きな喧嘩もしないし、変わらない関係で。寂しいのは直輝も同じだと思えば今のこの時間も愛しいと思えるのだから恋とは不思議なものだとしみじみ思いながら、微かに差し込む朝日を浴びながらカーテンを開けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
364 / 507