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時間×距離=二人愛
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直輝が言うこの前と同じって言うのは、少し前に俺が打ち上げの後酔って帰って来た日の事だ。
直輝にも心配をかけるし、俺は少し注意が足りないって散々言われていたから飲みすぎない事を約束してしっかりとセーブをしながらその日は解散した筈何だ。
だけどやっぱりお酒が入って居るとつい直輝の前で気持ちが昂ってしまって、おまけにデレデレととんでもない事も言っていた。
いつもと変わらず直輝の顔を見た瞬間にやらかしたんだ。それも思い返すだけで顔から火が出る程に恥ずかしい事を。
「あれは酔ってたから」
『酔ってないと出来ないの?』
「当たり前だろ! て言うよりあんなの一生しないよッ」
『なんで?』
「な、なんでって……なんでってそんなの……」
『そっか、じゃあ祥は酔ったら俺の前でオナニーしちゃう変態だったんだな』
「ーーッ?!」
『なに?』
「な、な、っ」
言えずに居たその行為を直輝はにっこり笑顔で口にする。本当、今思い返すだけでも死にたくなってくる程にあれは不祥事だ。黒歴史だ。気持ちが昂ったせいでそうなっただけであって普段からそんな事考えてなんか。
あれ?いや、でも最近ずっとエッチな夢見てるんだし俺って……
『祥?』
「へっ?!」
『なんか隠してる事あるだろ』
「か、隠してること?! 何のこと?!」
『……』
思い返した今朝の夢に顔が一気に熱くなる。心臓も早鐘を打ち出し、ドクドクと煩い。目の前には夢ではない直輝が居て伝わる吐息とか色っぽい視線とか、生の直輝と今朝の夢の直輝が被さって一層心臓は早鐘を打ち出した。
『祥って嘘が下手だよな。 直ぐに分かる』
「う、嘘なんか付いてない」
『ふーん?』
「……ッ、ッ」
じっ、と見つめてくる直輝から逸らさない様に膝の上で作った拳に力を込める。逸らしたらバレてしまう。バレてしまえば直輝の口車に乗せられて結局言ってしまう。それは避けたい。これ以上変態扱いされるのも、その事を知られるのも嫌だ。絶対、絶対嫌だ。
『ふふっ』
「……なんで笑ってるの」
『んー?』
「なんだよ……」
『いや、どうせ夢でも見たんだろうなって』
「ーーっ?!」
『俺に抱かれる夢でも見たんだろ?』
「えっ?! な、なんでそれを……ッ、あっ!」
『引っかかった。 祥の淫乱』
「〜〜ッ」
心の声が漏れていたのかとギョッとして思わず墓穴を掘ってしまう。直輝は相変わらず飄々と余裕で、一方俺はまんまとバレてしまいもうこれ以上赤くならないってほどに顔を赤く染めていた。
『分かり易いやつ』
「な、なんで分かったの……?」
『何でだと思う?』
「……分かんない」
『俺も見るからね』
「え……?」
『もう何回も見たよ、夢の中でなら何百回は余裕で抱いたな』
「ッ?!」
『ふっ、あははっ』
固まり黙る俺に直輝がケラケラと笑う。とんでもない事を言われてドッドッドッと煩い心臓を押さえながら直輝を睨むと、目の端に涙を浮かべ一人楽しそうに笑いあげているのだから堪ったもんじゃない。弄ばれてるお陰でこっちはもっと腹が立つ。
「か、からかうなっ!」
『あははっ、はぁー、本当面白いな祥は』
「最低だバカ直輝ッ」
『ふーん? 祥のエッチ』
「うるさい……っ」
『変態。 スケベ』
「う、煩いってば!」
『そんなに俺のこと好きなんだ?』
「ーーっ、……。……っだよ」
『ん? なんか言った?』
「……だから」
『なに?』
「……そうだよって、言ったの」
『……』
「そっ、そんな見ちゃダメな夢見るぐらい直輝の事好きなんだから……。 そ、その……戻ってきたら一年分俺の我侭、聞いてよ」
もじもじと体が揺れてしまう。こんな慣れない我侭を言うのは初めてで、チラチラと横目で直輝を見つめると驚いた様な表情をした後にまたいつもと変わらない優しい笑顔を浮かべて頷いていた。
『……勿論。 一年分じゃなく一生分聞いてあげるよ』
「っ、約束だから……じゃ、ッじゃあもう寝る」
『ふっ、逃げたな』
「煩いなっ、もう今日は寝るんだよ!」
『はいはい。 お休み祥ちゃん』
「ん」
確認すれば時間もそろそろ丁度いい頃だ。恥ずかしさに耐えきれなくて逃げる様に通話ボタンをオフにしようとした時、ふと直輝に引き止められた。
『祥』
「な、に……?」
『俺も大好きだよ』
「ーーっ」
『祥の事が大好きだよ』
「っ、うぅ……っ、もう、バカ直輝……ッ」
『ちゃんと言わなきゃね、大事な事だろ?』
「〜〜ッ」
ふわりと優しい顔して微笑む直輝にきゅうって胸が締め付けられる。だって今迄ずっと意地悪だった癖にこうやって急に優しい顔してそんな言葉言うのって卑怯だ。お陰でこっちは言い返す言葉も出てこなくて頭から湯気が出そうなほど照れてしまった。
「……学校、頑張ってね」
『ああ。 祥もゆっくり寝ろよ、お休み』
「うん」
手を振って、少し名残り惜しくも通話ボタンをオフにする。プツッと途切れた画面にはさっき迄映っていた直輝は居なくて……慣れた筈なのにやっぱりそれでもこの時間は切ない。ほんのちょっぴり鼻の奥がツンとして、ああ直輝に会いたいなぁなんて思っちゃえば止まらず溢れてくる。
直接、会いたいよって言えば直輝はきっと明日にでも飛んでくるだろう。アイツはそう言う奴なんだ。だから、この気持ちは絶対に言わない。後二ヶ月。二ヶ月後にお帰りを出来るように。この距離とこの時間がきっと俺と直輝の絆を強くしてくれるから、大丈夫。
ーーピロン
ぎゅうっと心臓の辺りを掴んだ時、携帯が鳴る。画面を開けば直輝から「また明日の電話楽しみに頑張れよ」とだけ書かれたシンプルなメールが送られて来て、俺が今ウジウジしてる事さえもお見通しのこの馬鹿な程に優しい直輝にまた胸が切なく締め付けられた。
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