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意地悪な態度
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「美味しい〜!」
「良かった」
落ち着いてから今は、祥と隣り合わせに座ってケーキを食べていた。
「直輝の美味しい?」
「ん」
「いいの?!」
「ふふっ、欲しくてずっと見てた癖に」
「見てないよッ」
一口乗せて差し出せばぷいっと顔を反らされた。ケーキを食べてご機嫌だったとしても、やっぱりこういう行為に対しては素直になれないらしい。覗く首筋は真っ赤で、思わず笑みが零れる。可愛い。愛しい。
「ほら、アーンしないの?」
「食べるからそっち置いて」
「いいじゃん、ほら食えよ」
「や、やだって……!」
「俺のアーンがやなの?」
「うっ」
「そっか、俺のアーンーー」
「たっ、食べます! 食べるから……」
わざと悲しい顔したらまんまとノる祥。小さく口を開いて目線はそっぽを見ている。あんまりにも緊張しているから悪戯心が擽られて桜色の下唇へわざと生クリームを擦り付けて食べさせた。
「ンッ」
「美味しい?」
「……んぅ」
真っ赤な顔してこくこく頷き咀嚼してる祥。緊張しているのが凄く伝わってくる。わざと付けてやった生クリームにさえ気づいていないんだから鈍感な所が可愛いんだよな本当。堪らない。
「祥ー?」
「なに?」
「ついてる」
「ーーッ!」
ぺろっと生クリームを舐めとる。ついでに唇迄も大きく舐めあげてやった。
そうしたら驚き口を両手で隠す仕草が挙動不審過ぎて、なんだか知らない祥の一面を見たようで嬉しい。
祥がもしも片思いなんてものをしていたらきっとこんな感じなんだろうか?
気づけば一方的に俺が祥を追いかけてきたからこういう初心な反応は心を擽られる。
甘い時間に身を任せていれば時間はもうそろそろ日付を超えようとしていた。
カチッ、カチッ、カチッ、と規則正しい音が時計から聞こえてくる。生きている今を刻む音。今が夢じゃないと教えてくれる。
────カチリッ
短い針へ、長い針が重なり合った。
日付が変わり、0時を告げた時計からは愉快なテーマソングが流れる。
左側に座る祥の手にそっと触れればビクッと体を揺らす反応に微笑を浮かべながら、ゆっくりと細い指に指を絡めて、重なる手のひら。
「祥?」
「は、はいっ」
「誕生日おめでとう」
「ッ、う、あ、ありがとう」
「俺が一番にお祝い?」
「うっ……うん、嬉しい、よ」
「こっち向いて?」
「〜〜ッ」
両手を握ってお祝いして。
顔だけじゃない、耳までも赤く染めた祥は下を見つめたまま。
黒く緩やかなウェーブした髪がかかる耳へと囁けば、恐る恐ると硝子玉の様な濡れた瞳が俺を映す。
「口、開けて」
「……ッ」
「そう。 いい子だね」
「んんっ」
ぎゅうっと目を瞑って微かに開かれた唇をひと舐めすれば、甘い味が舌へ広がる。
堪らないその甘さに何度も小さく唇を啄む。ちゅっ、ちゅうっ、と可愛らしいリップ音がなる度揺れる華奢な肩。鼻から抜ける甘い声。
「ンッ、ん、はぁ……ッ、直輝ッ」
「可愛い……俺のこと好き?」
「ふ、きぃ……ッ、直輝、なおきぃッ」
深くなるにつれて腰にくる様な甘い吐息。首に回った腕が離さないでと強請る様に力が込められて、俺はゆっくりと細い体を押し倒しながら、らしくない我侭を求めた。
「もっと好きって言って?」
「ンッ、や……ッ」
「お願い、聞きたい。 祥の口から聞きたい」
「ふ、ぁ。 ん、んぅ……す、き……ッ」
「もっと頂戴、祥。 足りない」
「好き……ッ……好きだよッ、大好き」
一度言葉にすれば、溢れるかのように祥が口にする。好きを囁かれる度に心臓が締め付けられた。
香る祥の甘い匂いも、緊張した華奢な体も、震える睫毛も、好きを形にする唇も
ーー全部が愛しくて、全部を俺のモノにしたい
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