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夢の時間、光るキス
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*
「どう、可愛い?」
「……」
何個かのアトラクションに乗った後、俺達はお土産売り場で休憩がてら商品を見ていた。
整った顔で似合わない言葉を口にして俺に尋ねてくる直輝の耳には、キャラクターの耳がデザインされたカチューシャ。
似合わない、って言ってやろうとしたのにこんな子供っぽい物まで似合う直輝に何とも言えず目を逸らした。
「なんだ、似合わないか」
「……似合わない」
咄嗟に答えたけど、嘘だよ。
本当は今すぐ写真撮りたいぐらい直輝が可愛いくてうずうずしている。
大きな耳のカチューシャがシンプルな物しか身につけなかった直輝のイメージを崩してくれてかなりレア過ぎて胸が痛い。
どうしよ直輝が可愛い……本当に可愛い……。きっとこんなレア直輝見れるのは今だけだ。ありがとう夢の国!
なんて馬鹿なことを考えながらキョロキョロと見渡していた時、青色の犬をモチーフにした耳が目に入った。
「こ、こっちの方が似合うかも」
「こっち? これ祥の方が似合うだろ」
「いいのっ、いいから付けて!」
「……」
「う、なんだよ……見るな……」
「別に〜」
じぃっと直輝に見つめられて思わず気まずく思ってしまう。もしかして写真撮ろうとしたのがバレちゃった?
心臓をドキドキバクバクさせながらも手に持った耳を差し出したら、直輝は案外簡単に付けてくれた。
「似合う?」
「……」
「祥?」
……か、可愛い〜〜〜!
ああどうしよう。子供みたいで可愛すぎる。
直輝が五歳の頃、お遊戯会で犬耳をお兄さんの颯綺(サツキ)さんに付けられて嫌がっていた時の思い出が蘇る。
うああ、どうしよ抱きしめたい……
「祥ちゃーん?」
「っな、直輝」
「なに?」
「す、少しだけ……しゃがんで……?」
「は?」
キョトンと意味が分からないと言いたげな顔で直輝が見てくる。
俺も急に何言ってるんだって感じだけどどうしてもしゃがんで欲しくて食い下がった。
だってこんな直輝見てチャンスを逃す方が惜しいよ。俺には無理だ。
「変な祥」
「い、いいの! お願いっ」
必死にお願いしたらいいよの返事が聞こえて、自分でもわかるほどぱぁっと笑顔になった。
肩をすくめて直輝が腰を屈めてくれる。
大体変わらないぐらいの視線に直輝の瞳が下りてきて、ちゃんと周りをキョロキョロと見渡し確認すると抑えきれずに飛びついた。
「ッ!」
「う〜っ、直輝全然似合わないよ!」
「……」
「こんなの絶対絶対、似合ってないからなっ」
「はいはい。 似合ってんだね」
「似合ってないってば馬鹿なおーッ」
ムツコロウさん顔負けに頭を抱き締めてわしゃわしゃする。
急に飛びついたから驚いた直輝が身をひこうとしたけど、それでも構わず頭を抱きしめた。
何だろう、母性本能って言うのかな?
何だかよく分からないけどこんな子供っぽいカチューシャを付けて、いつも完璧な直輝に隙があるってのが可愛いくてきゅんきゅんして堪らない。それにきっとこんな直輝見れるのは俺だけだ。そう思うともう堪らなくニヤけてしまう。
「ねえ、直輝」
「ん」
「こ、これ買おう……?!」
「似合わないんだろ?」
「うぅっ……それは……」
「てかいつまで頭抱きつくつもりだよ」
「後もう少しだけ……っ」
不満そうな声に、お願いと言い加える。
はぁー、と長く聞こえた溜息に悪いなとは思ったけど聞かなかった事にしよう。
もう一生ないかもしれないから今のうちにめいいっぱい抱き締めておきたい。
そう開き直って考えた時、それまで大人しかった直輝が急に顔を上げた。
「そうだ、ペットに噛み付かれる飼い主っていいよな」
「えーー」
ニヤリと可愛げのない妖しい笑みを浮かべた直輝がグッと腰を抱き寄せてくる。
不意に抱き締められて驚く間に、視覚になっている壁へ押し付けられて唇に何かが触れた。
「飼い主様、俺はもっとやらしい可愛がられ方が好きなんですけど」
「っ、へ……ちょっ直輝」
「俺のこと撫でたいんだろ? 良いよ好きなだけしな。 でもお返しに俺はこっちを貰うけど」
「んんっ……!」
驚く暇もない。
頭の後に手が滑り込んで引き寄せられる。
ちゅうっ、とくっついた唇に直輝が噛み付いてビクッと体が震えてしまった。
ここ、お店だし誰かに見られでもしたら大変だ。またどこで写真を撮られるかも分からない恐怖に心臓がヒヤリとする。
それなのに直輝が離れようとするのを許さない。その上いつの間にか腰は抱かれ、とうとう舌まで潜り込ませてきた。
「ふ、ぁ……っだめ……!」
「ん、可愛い〜」
「なおっ、んぅ……っん、ふあ」
あ、まずいもう流されそう……
ドンドンと胸を叩いてる手から力が抜けていく。足が震え出して、段々体中からも力が失われてきた。
一人で立つのが苦しくなって何とか体を支えようと足に力を入れた時、ぐりっと脚の間に直輝の膝が入り込んで腰が震える。
「は、っあ、やめッ」
「腰抜けちゃう?」
「う、るさ……ッひ! ダメ、ダメッ」
ゆらゆらと股に挟み込んだ膝を直輝が揺らしてくる。
その動きが、刺激が、情事の事を思い返させてあっという間に下半身は勃ちあがり始めた。
それに気づいた直輝に不敵に微笑まれて、かぁっと体が燃える様に熱を帯びだす。
これじゃ駄目だ……このままキスされてたらイッてしまいそうだ。
「祥、出したい?」
「ーーッ」
「腰揺れてるよ」
「ちがぁ……ッ、は、やめっ」
「乳首も勃ってるじゃん。 お店の中でもしかしてイっちゃうの?」
「やだッ、や、ああっ、出ちゃうからぁ……ッ」
ぐりっ、ぐりぃっ、と膝が勃ちあがったペニスの裏側を擦り付けてくる。
細かく揺すってきたり、強く押し付けたり、段々と高まる快感に頭がぼんやりとしてきた。
はぁ……っ、どうしよう、イきたい……
駄目だと思えば思うほど苦しくなって気持ちよくて堪らない。
咄嗟に伸びた腕でぎゅうっと直輝にしがみつくと肩口に口元を埋める。
唇を噛み締めて声を抑えた時、乳首をキュッと抓られて体はかくんっ、と全身の力が抜けてしまった。
「ふ、っううーッ!」
「はっ、まじでイッたんだ?」
「ふ、っあ……なお……ッなお」
「あーよしよし、泣くなって」
ガクガクと震える膝に力の入らない体。
脱力して崩れ落ちそうになった俺を直輝が抱き締めてくれた。
「俺、ダメって……っぐす」
本当にイッてしまった……。
途端に溢れ出す涙が頬を伝う。
誰かに見られて居たらどうしようって恐怖が、お店でいけない事をしてしまった羞恥心が、とめどなく襲いかかってくる。
「祥ごめんね?」
「う、っう……やだ……ッ」
「あははっ、乳首抓られてイクとか可愛いんだけど」
「最低……ッ! 馬鹿、嫌いっ」
「ごめんって、何でも言うこと聞くから許して?」
「グスッ……」
ボロボロ零れる涙を直輝の指が拭ってくれる。調子いい事ばっか……
でも直輝だけが悪い訳じゃなくて、むしろ我慢さえ出来ない俺が悪いのなんて分かっていてもどうしても八つ当たりしてしまう。
なのに直輝は笑ったまま頭を撫でてくれるからもっとキツく当たってしまって、大人気ない。
俺、本当に子供みたいだ。
そんな事を考えても、直輝の腕の中から抜け出そうとしないで大人しく抱きついているんだから自分で呆れる程に馬鹿だと思う。
「グスっ……じゃあ、写真撮りたい……」
「あはは、まだ言うそれ?」
結局泣き止んだ後、ふくれる俺に苦笑した直輝が写真を撮らせてくれた。
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