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聖夜達の姿も見えなくなって、玄関へと戻る。
ドアに鍵をして、靴を脱いだ迄は良かったんだけど……。
「は、離せっ!」
「なんで?」
「家の中なのになんで手なんか繋ぐんだよッ」
「良いじゃん。 それよりもさっき聖夜達の事引き止めようとしたろ?」
「うっ……だって久しぶりだったから……」
「俺と二人きりになりたくなかった?」
「はぁ?」
手を繋いだまま後ろから抱きしめて来るから何処にも逃げ場が無い。答えるまで何処にも行かせる気が無いのか玄関の前から動ことうしない直輝をチラリと見上げて、顔を顰める。
完璧拗ねてる時の表情だ。
「そんなこと別に言ってない」
「でもずっと冷たかった」
「だ、からそれはっ」
「……なに?」
「うぅ……も、一々聞かなくても分かるだろ……」
「分からないから聞いてるんだよ」
「ッ、だからぁ」
耳に顔を寄せて話すからぶるりと体が震える。
どうしてこうも一々近いんだよ。言うだけでも恥ずかしいのに、そうやって触れてくるから話そうとした言葉は喉に突っかかったまま出てこないし、ずっとツンツンした態度のままだし、俺がどうしたいなんて知ってるくせに。
「直輝、狡い」
「狡いのはどっちかな。 ねぇ、祥?」
「だ、だからッ」
「だからー?」
「〜〜ッ」
直輝が言いたい事は百も承知だよ。
聖夜と綺月先生が居たから普段の倍、直輝にキツく当たってしまった。二人の前で直輝と居るのは学生以来だし、よくよく考えたら二人の姿を見るのには慣れていても、見せることには全く慣れていない。
オマケに直輝はそんな俺の胸のうちを知ってる癖に「はい、どーぞ」とか言って膝の上に乗れとか言うんだからそりゃ怒るだろ。
乗れるか馬鹿!って反抗したら無理矢理でも乗せられるし、散々な目にあった。
何か思い返して来たらまたムカムカしてきたんだけど、直輝だってやっぱりずるいじゃん。
「直輝だってさ俺が嫌なのに無理矢理したじゃん」
「何の話?」
「は、綺月先生の前で抱っこしたりとか俺子供じゃない!」
「分かってるけどそんなこと。 熱でもあんの?」
「むかつくッ……! そうじゃなくて」
「ふっ」
「〜〜ッ!?」
ああ!今絶対俺のことバカにしたコイツ!
ふっ、とか鼻で笑って見下ろされるだけでも腹立つのにそこに加えて絶対絶対、今「こいつ馬鹿だ」とか思ってるに違いない。
直輝の事紳士で王子様とか言ってた子達にただの性悪魔人だって教えてやりたい。どこが紳士だ。王子様だってきっと変態の王子様だろ。
「バカにすんな!」
「俺が? 祥を馬鹿にする? そんな訳ないだろ」
「嘘! 今腹の中で俺のこと馬鹿だなあーとか阿呆だとか思ってるの顔に出てる!」
「思ってないって」
「じゃあ何考えてんだよ!」
「言っていいの?」
「良いから早く言って! 馬鹿って言ったら手噛むからなっ」
バタバタ暴れる俺とは違って一人余裕に抱きしめてくるのもムカつく。今日こそは直輝に負けないって意気込んだのに、聞かされた言葉に唖然とした。それからすぐに自覚するほど顔は熱を帯びていく。
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