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四人の男たち
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鏡に写る久しぶりの姿に少しだけ懐かしさを感じた。
「よし、乾いたよー! 完璧!」
「ん、ありがと祥ちゃん」
仕事が終わって帰宅した平日の夜。髪の毛を茶色に染めた俺は出てくるなり目を輝かせて待っていた祥に髪を乾かして貰っていた。
いつもより少しだけ浮かれた様子の祥は乾かし終えるなり、俺の髪に指を通してはくるくると巻き付けて遊んでいる。美容師を目指しただけあって髪を触るのが好きなのか、必ずと言っていいほど髪に触れる時祥はキスをする。
それが無意識に行われている事に本人は気づいていないし、言うと恥ずかしがって数日の間は意識して避けそうだから言うつもりは無かったけど流石に少しこれはどうだ。
「サラサラ〜、直輝の髪の毛サラサラだね」
「……」
背後に座り込んだ祥に頭をがっつりと固定されていて体が動かせない。
明日から二泊三日の旅行に行くからか、今日の祥はいつもよりやけにテンションが高かった。
それは可愛くて大いにいい事だけど、なんでかさっきから後ろを振り返ろうとすると物凄い力の強さでそれを阻止される。最初はただじゃれてるだけかと思ったが、そうでもないらしい。
態と後ろを振り返らせない様にしていると気づいたからには、聞き出したくなるもの。
背中にぴったりくっついて寝技でも決めるつもりなのか胴体に絡まっている手足をそっと撫でながら、優しく声をかけた。
「ずっと触ってられるね! それに綺麗に染まってる」
「祥がくっついてくれんのは凄く嬉しいけど、いい加減首に巻きついてる腕解いて欲しいな」
「……え?」
「どうしてさっきから後ろ向かせるの止めてんの?」
「……、……え?」
とぼけて誤魔化せると思ってるのか祥は。
当然そんな筈もなく、言ってるうちに素直に手を離さなかった祥が悪いってことに力づくで振り返ることにした。ついでに押し倒して腕を拘束したけど、それはまあ……たまたまだ。事故ってやつ。
「な、離せ!」
「それより先に教えてくれたらな」
「……何がだよ」
「さっきからなんで俺の目見ないの?」
「み、見てるけど……?」
「へぇ……、俺の目は右の壁の中にあんだ? 顔は今、祥の真上にあるつもりだったけど」
「……」
腕で顔を隠せない様にしたら、めいいっぱい首を曲げてそっぽを向いている。お陰様で露になっている真っ白な首筋に柔らかな黒髪が散っていて美味そうだ。
態と見せつけるようにして、舌なめずりをすると肌の上に舌を滑らせる。
ビクッと跳ね上がった細い体がこれでもかと反抗を続けるから、ゆっくりと皮膚に歯を食い込ませていくと固く結ばれた唇が微かに開いていった。
「……ッ、……ぁ……な、お」
「んー?」
「くすぐっ、たいから」
「それだけ?」
「……ンッ、あ……ちょっと、待った! ストップ! 言うから!」
二三度、甘噛みをして色っぽく浮き出ている喉仏に歯を合わせる。そのまま強く吸い上げようとした刹那、先に折れたのは祥だった。
「……も、もう……言いたく無かったのに」
「祥が言いたくなくても俺が聞きたいから、祥は言うしかない」
「……悪魔」
「そりゃどうも」
ギーギー文句を言ってはなんとか時間を稼ごうとしてるけど結局無理だと分かったのか、みるみるうちに顔を赤く染めた祥が口を開く。
「ぅ……も、だから」
「なーに祥ちゃん」
「……髪茶色に染めたでしょ。それで、昔の直輝が目の前に居るみたいで、恥ずかしくなったのッ」
ムッと顔を顰めながら祥が話す。
恥ずかしいと怒る癖は相変わらずで、真っ赤に染まった頬が膨らんでいて可愛い。
「昔の俺?」
「……白髪じゃないから新鮮って言うか……学生の頃の直輝思い出して、その、かっこいい、なぁ……って。も……俺、変態みたいでやだ……」
「祥は変態だろ」
「ッ、違う!」
頭から湯気が出るんじゃないかって程赤い顔を手のひらで隠すと祥は俺の下で小さく縮こまってしまった。
なんだそんな理由で照れてたのか。
茶髪は確かに俺も久しぶりで懐かしさを感じたけど祥の受けが予想以上に良かったことに悪い考えが浮かぶ。
「祥ちゃん」
「うー……も、なんだよバカ……」
「学生の俺を想像してどんなやらしいこと考えてたの?」
「――ッ?!」
それだけ顔を赤くしたってことは当然やらしいことも考えたんだろ。
祥も聖夜程じゃあないが案外ムッツリだ。勝手にひとりで妄想して顔真っ赤にして急に殴られることも日常茶飯事なわけで、何を想像してたのか問いただせば涙目で見上げてくる姿に思わず口元が緩んでいた。
そんな可愛い反応ばっかするから俺に苛められるんだよ、祥ちゃん?
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