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お忍び旅行はラブハプニング
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「わ、急にッ──ン、んぅッ」
よろめいた体を軽々と受け止めた胸に押し付けられて唇が塞がれる。
驚きと息苦しさに目が白黒とする。
その間にもズルズルとつま先迄しか届かない程に抱きしめられて、年月を感じる古びた建物の間に挟み込むよう身を潜めた直輝の舌と攻防を繰り返した。
「んむ、ンン〜〜〜ッ!」
(いやいや待って、おかしい。)
手繋ぎたいとは言ったけどキスしたいなんて言ってはいないし、何よりも困惑した原因は本気で食らうかのようにくちづけてくる直輝にだ。
いつの間に移動したのか右手が尻を撫でる度にゾクゾクと腰が震えて、押し付けられた下肢に揺すられればひとたまりもない。
必死になって閉ざしていた唇から微かに力が抜けて、舌先でノックを繰り返していた熱を持った舌にあっという間に貪られてしまった。
「ン、は……ぁ、なお──ッま、……やぁ」
角度を変える度に深まるキスに性的な涙が目尻に溜まる。
所在無さげにさ迷っていた両手は力なく直輝と俺の体の間に居場所を見つけ、胸元にしがみつくの精一杯だ。
「ぅ、ん……な……お、なおッ」
「エロい顔」
「も、辞めて……。無理、これ以上は……ダメ……」
蹂躙された口内は消えてしまった熱を求めているし、震える体は意地悪く見つめてくる視線にも煽る様に腰を撫でる手にも期待しているのは十分なほどわかるけど、微かに残った理性で無理矢理押し込める。
その間にも愛おしげに見つめられて、何度もくちづけをしてくる直輝に絆されてしまいそうで、顔を背けるなり今度は首元を熱い舌が舐めあげる。
「ひ、ッ」
「脱がしたいのをアレだけ我慢してたのに煽るからこうなるんだよ」
「そんなの知らない……ッ」
「知らないじゃ済まされないって事を祥は覚えておくべきだ。自分がどれだけ魅力的で隙だらけなのかを知って欲しいってあんなに伝えてもこれなんだからどうしたらいいんだか」
そんなことを言われたって戸惑うしかない。
俺はただ、そういう目で見てくれるのは直輝だけでいいし、今だって直輝ぐらいにしかそう言う目で見られてるとしか思えない。
自信が無いからさっきもああやって、少し試すような行動に出てしまって結局はその事をいま咎められてしまえば口を閉ざすしかなかった。
俯いたまま、居心地の悪さに口端が下がる。
暫くそうしていると嘆息混じりの苦笑を直輝が浮かべた。
「……はぁ」
「ごめ、なさい」
「それはもういい。そうじゃなくて、さっきみたいな上目遣いとか誘惑するような顔他の奴にしちゃ駄目だよ」
「え、なんで?!」
聞こえてきたお咎めにパッと顔を上げる。
その注意は要するに少しはこんな俺でも直輝を誘惑するぐらいの力があったのだろうかなんて期待したのに、それは尽く打ち砕かれた。
「はっきり言うけどかなり不細工だった」
「……、……え?」
「うーん……あんな顔で迫られたらなぁ……。俺は祥を好きだから可愛いなぁで終えるけど他の奴があんな顔で迫られたら──恐怖に腰抜かすんじゃない?」
「……」
絶句、とはまさにこの事じゃなかろうか。
酷いなじりをまるで褒めてるかのようにニコニコ笑って言う直輝って一体どうなんだろう。
そんなに酷くてももう少しぐらい、あっても……はぁ。
「……わかった……もう二度としない……」
「ふっ、その方がいいよ。……口紅伸びちゃったな」
「ッ、ん」
口端をぺろりと舐められてくすぐったさに身をよじる。
最後の最後にこうして宥められちゃうと俺の顔が相当最悪な凶器になると聞かされても、落ち込むよりもまあいいかだなんてどうでも良くなる。
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