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伝えぬ想いは掌に還る
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縛られた瑞生の両脚の間に身を滑り込ませ閉じられない様に脚を太腿の上に乗せる。帯を奪われただ浴衣を羽織るだけの瑞生は裸も当然で、身をよじるたびに照明の下、陶器のような肌が踊る。
持ち出した袋からソレを取り出すと、聡い瑞生は次の行動を知ってしまったかのようにか細い声で問いかけた。
「そ、れ……いれたりしないよね」
反抗の一切を辞めた瑞生が青褪めた顔してこちらを見る。
ただ、酷薄な笑みで返すと手に持つ瓶の蓋を開けた。
「反省する迄このままだ」
「や、め──ッ、あ"、ァッ、」
戦慄したままの体は怖張り、後孔も当然ながら硬い。だが解してやる情は持ち合わせてなく、冷たく硬い瓶ビールのクチを後孔に差し込むと一気に奥へと押しやり細腰をくの字に曲げるよう持ち上げた。
「ひ、ゃあ、ん、んゥっ」
衝撃に目を瞠る瑞生が喉の奥で悲鳴を上げる。直腸から摂取するアルコールは辛いだろう。助けて欲しいと言うんなら直ぐにでも辞めてやるつもりだった。
だが
「く、っそ……! クソ親父ッ! 絶対、は……ん、許さない、から、な」
睥睨してくる瑞生の言葉に応えて瓶の底を掴み回してやる。途端に湧き上がる悲鳴に、嗜虐心のまま前立腺を押し潰してやると瑞生は唇を噛み締めて体を跳ねさせた。
「お前ほんとう、こういうの好きだな?」
「だ、れがッ!」
「興奮してんの分かるんだよ。今すぐ激しく抱かれてぇんだろ?」
「うるさっ、ァッ、やめ、ろ」
軽蔑心によりきつく寄せられていた眉が緩み今は快楽の渦中にのまれている。
口で飲むより倍以上に酔うことも恐ろしい事ながら、吸収の速度も早い。
瓶ビールの半分にも満たないところでソレを引き抜くと瑞生の耳元で囁いた。
「腹に力入れねーと漏れてくるぞ? ここからな」
「ん、やめ……触ん、なぁ」
胸を喘がせて、朱色に染まった全身が俺に擦り寄ろうと体を波打たせる。それを躱し、瓶ビールによりパクパクと口を開くそこへ指を突き刺し掻き回してやる。すると瑞生は悩ましいほどの嬌声を上げうまそうに締め付けた。
「お前が素直になるまで俺はなーんもしてやんない」
「ッ、アンタになんか、助けてもらわなくて、いい!」
「ほう? ならずっとこのままだな。明日も一日ここで縛られて酒が薄まればまた直腸から直接飲めばいい。お前が俺に素直に助けを求めるまで何日だってここに縛り付けてやるよ?」
「クズ! 離せ、離せってばぁ!」
惚けた熱を孕む瞳に睥睨された所で何を思うか。ただ間抜けにしか映らない。それ以上に言葉とは違い、俺の太腿へ乗せられた瑞生の腰はゆらゆらと揺れ動き強請る。それを指摘してやると、悔しそうに顔を歪め無言で俺を見つめてきた。
「なんだよ?」
「ふ……っ、ぅ」
言いたい事は分かる。心の中では何度も謝ってるんだろうことは想像ついた。だがそうじゃない。何を思って今日のような行動に出たのか、我慢を覚えるんじゃなく伝える事を瑞生は覚えるべきだ。
言いたい事があるなら口にして伝える。不安も、恐れる事も、喜びも。
俺は周りの恋人たちのように、毎回言わずとも察してやるだなんてまどろっこしい事に付き合うきなんかさらさらない。代わりに受け止めることはするが、言わないのならいつまでもその心は相手には伝わりやしないだろう。言葉にしたって言いたい事の想いは半分も伝わっているのかさえ不安で形の無いものなのだから。
例えば俺がいずれ居なくなった時、瑞生が助けを他の誰かへと求められるようにいつまでも俺が分かってるばっかりじゃ何も成長しない。
慣れた我慢は容易い。だがそれからの素直に伝える行いは、想像以上に努力が必要なんだ。
「か、がりさ……ッ、」
瑞生の側を離れ、俺からは柱が見えるが相手からは見えない場所で腰を下ろした。
それから暫くの間は罵詈雑言の嵐でうるせぇのなんのって。やっと静かになったかと思えば今度はどうやら泣いている様だ。ほんと忙しいやつ。おまけにめんどくさくて仕方ない。普段は涼しい顔してるがその皮のしたなんて年端もいかない子供のように駄々っ子で我侭だ。
「かがりさん……!」
呼びに応えないでいると痺れを切らしたのか、今度は怒鳴る様に俺の名を呼ぶ。そんな態度一体許されると思ってんのか? あいつは。
当然ながらごめんなさいを言うまで、俺から行く気はさらさらない。聞こえる様に嘆息一つ零すと、再びパソコンへ視線を戻した。
「も……や」
俺だって嫌だっての。何が楽しくて旅行で喧嘩した上にお仕置き放置なんてしなきゃならんのだ。
今頃ドロドロに甘やかして沢山可愛がっているであった筈の時間は冷々とした時間が代わりに過ぎていく。
それもこれも最近の喧嘩の種は二年前の事が原因なんだろう。あの事はまだ何も解決していない。
思わず過去の記憶に意識を囚われる。考えた所で現実は変わりはしないのだ。ならば動くほか無い。
憂慮を追い払いノートへ新作のメニューを書き綴る。
改めてそれを見直すと、どれもこれもが瑞生の好きそうなもので無意識ながら自分が恐ろしく間抜けに見えた。まるで朝から晩迄好きな相手を考えて悶絶する餓鬼のようだと、二度目の溜息をつくとボールペンを放り投げ畳の上へと身を倒したのだった。
それからも瑞生は意地を張り続け、漸くその言葉を口にしたのは日付を超える頃だった。
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