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第3章
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▼ 第3章
ふと考える。
立ち止まり振り返ると様々なことを選んでは捨ててきたことに。
《 愛はすべての沈黙の下にある声であり、怖れとは正反対に位置する希望である。またより強靭な強さであり、太陽より早く星より遅い真実なのである。 》
誰にとて譲れないものはあるのだろう。
誰しも平等に幸せを希うだろう。
それでも幸せとは思う以上に長くは続かず、世界はそれほど優しくもない。
強く願うことで手にしたものがあれば
強く願うことで失ったものもある。
運命の天秤なんてものが本当にあるならば、やがて傾き出した時、俺達は必ず答えを出さなければならない。
想いとは関係なく。何かを犠牲にしなくてはならない時がある。
誰かの不幸に寄り添い幸せになる事もあるのだろう。
手のひらですくい上げた水が、どれだけ大切にしようとも指の隙間からこぼれ落ちて行くように。幸せもまた消えていく。
だからこそ強く掴むのだ。
失わぬよう。
見失ってしまわぬように。
強く、強く握り込む。
俺にだって護りたいものはある、
昔も今も未来でも変わず譲れないもの、
たった一つの花のような笑顔を。
その為なら受け入れよう。
人を傷つける覚悟を、俺達が選んだ未来への対価を。
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