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ハプニングは唐突に
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「んぁ……ん……ふ」
「キスって言ったらこのぐらいはするだろ?」
「な……っ! で、出来るか変態!」
「やっといつもの祥に戻ったな」
「へ?」
後ろに倒れ込んだ俺の上に覆いかぶさった直輝を押し退けるとそんな事を言われた
「祥熱あったんだよ」
「……熱?」
「朝から様子が変だとは思ったけど、気づかなかったのか?」
「う、うん……楽しみにしてたからそれでかなって……」
「はぁ。 子供じゃあるまいし」
「う……」
「そんなに熱も高くないし寝てたら治ると思う。 俺も気づかなくて悪かった」
「ちが……っ! 直輝は悪くない……」
「ふっそんな顔すんなよ。 祥が元気になったらお仕置きする口実も出来たんだし」
「はぁ?! そ、そんなのしない!」
「お仕置きはされる側が決めるんじゃなくて、する側が決めるんだよしょーちゃん?」
「〜〜〜っ」
「ふっ、折角良くなってるのにまた熱上がるよ。 早く寝な」
「……うん」
ぽんぽんと頭を撫でられて
直輝に促されるまま横になる
流石に直輝は一緒に寝てくれないよね
風邪、移ったら困るし
俺だって移して直輝が辛そうにしてるのを見るのは嫌だから我慢するしかないか
大人しく寝ていよう
そう思って寝返りを打ったとき
ベットがぎしりと軋んだ
「へ……?」
「ん?」
「一緒に、寝てくれるの……?」
「さっき一緒に寝たいって言ったろ?」
「でも……風邪移っちゃう……」
「ふっ俺と居たくないの?」
「ちが……っ! ……違うけど、でも」
「良いよ。 移ったらズル休みして祥と1日中ごろごろ出来る」
楽しそうに笑ってそう言いながら
布団の中に直輝が潜り込んでくる
本当ならここで
移っちゃうからやっぱり駄目だって言うべきなんだろうけど
誘惑に負けてすんなり頷いてしまった……
「んー、祥やっぱ少し痩せたな」
「え? そんな事ないよ」
「前より腰が細いし肉がない」
「……」
肉がない……
抱き心地が良くないって意味なのか……?
いや男に抱き心地求められても困るけど
でも、直輝だって元は女の子大好きな男だ
沢山女の子と寝たんだし
抱き心地とかもやっぱり……
「祥?」
「へっ?!」
「何でまた泣きそうなんだよ」
「ちっ、違う!」
「じゃあ何。 熱があるから弱ってただけじゃないみたいだな」
「……直輝は」
「ん?」
「女の子と寝たいって思わないの……?」
「は?」
恐る恐る聞くと直輝が物凄く機嫌の悪そうな顔をする
あ……まずった……
そう気づいた時にはもう手遅れで
今度は直輝が拗ねていた
「な、直輝……ごめんね……?」
「……」
「悪気があったんじゃなくて……俺、抱き心地良くないし男だし……たまに直輝俺とエッチしてて嫌にならないかなって、不安で……」
「……勝手に不安になってればいいんじゃねーの」
「――ッ」
「……」
「ご、ごめんなさい……」
背中を向けた直輝が近いのに遠く感じる
今日本当俺ダメな日だ
喧嘩をするのは日常茶飯事でも
こうやって直輝が拗ねたりする事滅多にないからどうしたらいいのか分からない
「……直輝? もう、そんな事言わないからこっち向いて……?」
「……」
「……直輝」
「祥こそ」
「え?」
「そう言う祥こそ思うんじゃねーの?」
「何を……?」
「男の俺に抱かれるなんてたまったもんじゃないって」
「なっ! そんな事思ってない!」
「へえ〜どうだか」
「俺そんなに嫌味っぽく言ってないし…てか何だよその言い方!」
「祥こそ。 俺に女の方がいい?って馬鹿だろ。 そう思ってるならとっくに女を抱いてるよ」
「〜〜〜っ! だから何でそんな嫌味ったらしく言うんだよ!」
「ああ、これは失礼。 元々捻くれてるものでこういう言い方しか出来ないんですよ〜」
「ムッカつく! 腹立った!」
「はっ、そうやってすぐ怒る。 そのうち高血圧とでも診断されんじゃね?」
「あっちいけ変態野郎! 毎日毎日ネチネチ、ネチネチ。 直輝の変態!しつこいんだよ!」
「そのネチネチされてあんあん善がってるのはどこの淫乱野郎なんだか」
「し、仕方ないから演技してやってるんだよ! 気づかなかったんだ、下手くそ!」
「なっ?! あぁ、そうですか。 なら祥が好きなように抱いてくれる奴でも探せよ」
「そうするね、高田の方が断然上手かった!」
「……マジで言ってんの?」
「……っ、そ、そうだよ?」
「あっそ。 なら助けなきゃ良かったわ」
「お、俺だって助けてなんて頼んでないし!」
静かに起き上がった直輝がベットに座ってチラリと目だけで後ろを振り返る
バチッと瞳があった時
とんでもない事をしたと思った
直輝の目が、見た事無いほど冷たくて色がない
ヒートアップした口喧嘩で言ったらならない事を言って傷つけた――
そう何かに気づく時はいつだって
大抵物事は取り返しがつかなくなってからだ
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