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体育祭の季節
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「それよりそろそろ集合だ。 いつまでも祥を困らせてないで早く行くぞ」
「んー、俺サボりね」
「はぁ?」
「聞こえなかったか? サボるって言ったんだ」
「……理由は」
「祥と居るから」
「却下」
「俺がどうしようと俺の勝手だ。 聖夜に却下されようが俺は祥と居る」
「お前……本当に祥が絡むと餓鬼だな。 そんなんじゃ祥に捨てられるぞ」
「……」
「……」
聖夜の元から離れて再び俺の元へ戻ってくるなり抱きしめてきた直輝がピタッと動きを止める
聖夜も直輝の反応が止まったことに気づくと
開きかけた唇を閉じた
「あ、あの……直輝?」
「……」
「聖夜も、そう言ってるし……ね? 頑張ってきたら何でも俺お願い聞くから」
「……言ったな」
「え?」
「俺が頑張ってきたら何でも俺の言う事聞くんだ?」
「あっ、いや、えーっと……何でもは嘘っ!」
「なら行かない」
「直輝、いい加減にしろ」
「聖夜は引っ込んでろ。 二度も邪魔したら、分かってるな?」
ああ……笑顔が怖い
俺も聖夜もこうなったら直輝には逆らえない
完璧俺様な意地はりになった直輝は
いつもよりもうんっと手強い
「はぁ……。 分かった、いいよ何でも言う事聞くよ」
「約束する?」
「うん、だから行ってきて。 俺も直輝のかっこいいところ楽しみにしてたんだから」
「なら行く、でも競技に出てない時は俺と居ろよ」
「分かったって、直輝本当に子供みたい」
「五月蝿いぞ祥」
「ふふっ行ってらっしゃい」
おデコにチュッとキスをした直輝が名残惜しげに手を離す
こんな顔なかなか見ないからかな
直輝が可愛くて堪らない
ほんの少し寂しそうにしている直輝の頭をクシャクシャって撫でて抱き込むと直輝がキツくキツく抱きしめ返した
「行ってらっしゃい」
「ん」
「甘えん坊だね」
「祥が近くに居るのに離れてなきゃならないんだから当然だろ?」
「あははっ! 今度は開き直ったなバカ直輝」
当たり前とでも言うように直輝が見下ろしてくる
この大きな学校の生徒会長をしている聖夜はあちこちから声がかかっていて直輝ばかりに手間をかけられなさそうだ
なかなか離れない直輝に仕方なく俺からほっぺにキスをすると驚いた顔をした後に嬉しそうに直輝がハニかんだ
「今ので30分は持つな」
「1日は持ちます。 ほら聖夜が困ってるよ、早く行って」
「わかった」
バイバイって手を振ってなんとか直輝と聖夜を見送る
ふー、とひと息つくと今度は校門へと向かった
俺一人で見るのもつまらないだろって
陽とハル君も来てくれるらしい
聖夜が生徒会長として努める姿みたいから
開会式の前には来るって昨日話していた
だからそろそろ来るだろうと思って移動していた時タイミング良く道の先から陽とハル君が歩いてくるのを見つけた
「陽!」
「兄貴」
「祥さんおはようございます」
「ハル君おはよう。 来てくれてありがとう」
「俺も見たかったし全然大丈夫です! それに祥さんにも会いたかったし!」
ニコニコとお日様みたいな笑顔を浮かべたハル君が挨拶をしてくる
ハル君とこうして会うのは確かに久し振りだから俺も実は結構楽しみにしていた
ワクワクした気分になっていた時
隣にいた陽がピクッと反応を示す
「陽どうした?」
「……何も無い」
「陽ちゃん?」
「……」
あんまり表情に変化がないから
感情を汲み取りにくいけど流石に家族だから分かる
ハル君の事大好きだからなぁ
兄である俺に対してもヤキモチ妬いちゃったんだな
何となくそうなんだろうと思って
先に前を歩く二人を観察していた
拗ねてる陽に、ニコニコと笑顔で話しかけるハル君
陽が本当に辛かった時にいつも隣に居てくれたのはハル君だって前に話してくれた
とても大切だって
陽が最近優しい雰囲気になったのも
きっとハル君のお陰なんだろう
いじけてる陽と、必死に陽の機嫌を直そうとするハル君
二人の姿を見ていたら
大切な人が居るのっていいなぁって
それだけで幸せな事だって
そんな暖かい気持ちになった
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