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子猫と白ライオン
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「な、なに?!」
「……」
「誰……っ、離せ!」
誰かの手で目隠しをされている
急に背後から迫ってくるなんて
心臓がドキドキして驚きに変な声まで出てしまった
誰なのか聞いても答えない
背後の誰かの手をどかそうとした時に
ふわりと懐かしい香りがした
「……おい」
「……」
「……離せってば」
「…………」
「バカ直輝! 離せって言ってんの!」
「ふっ、あははっ」
「〜〜っ!」
ほぼ間違いなくそうだと思って口にした名前
途端におかしそうに笑いあげた直輝が
俺の目を塞ぐのをやめた
「祥って犬か何か?」
「うるさい!」
「警察犬になれるんじゃない?」
「だから、うるさいってば」
クスクス楽しそうに笑って
何がそんな面白いのかサッパリだ
こっちは驚きで心臓が飛び出そうになったのに
「俺のこと匂いで判断したろ?」
「え……なんで分かっ……」
「少し匂い嗅いでたから」
「か、っ嗅いでない!」
「ふふっ、はー面白い」
確かに嗅いだけど
それは何か懐かしい匂いがするからであって
まるで変態みたいに言われて
恥ずかしくて堪らない
「ほら荷物取ってこいよ」
「……うるさい」
「それとも一緒についてってあげようか?」
「いい! 一人で行ける!」
「ふっ、じゃあここで待ってるよ」
「……」
「ん?」
「直ぐ戻る……」
「あははっ、わかってるよ。 ちゃーんと待ってるからゆっくり行っておいで」
「〜〜っ」
多分何もかも見透かされてるんだろうな
スッ、と目を細めて優しい笑顔を浮かべた直輝に背を向けると歩き出す
荷物を持って帰ってきたら直輝が居ないかもとか
そんな事ちょっと考えて不安になったの
直輝気づいてたかもしれない
「……はぁ」
匂いで分かっちゃうって俺変態なのかな……
変態みたいに扱われて怒ったけど
あながち間違いでもないような
いやいや……!
ぶんぶん、と横に顔をふると考えていた事を打ち消す
さっさとバックを持って帰ろう
直輝を外で待たせてるんだから
急いだ足でバックを取って直輝の元へ戻ると
二人で三年ぶりに俺の家へと帰った
「ただいま」
「お邪魔します」
「……」
勢いで帰ってきたけど
なんか……物凄く緊張する
「俺の部屋いってて、子猫連れてくから」
「陽は?」
「帰るって連絡入れたらハル君のところ行ったみたい」
「ふふっ、あいつらは今も仲いいんだな」
「……っ、……うん。 仲いいよ」
「先上がってる」
「うん」
一瞬だけ流れる空気が止まった
あいつらは、って言葉
わざと言った言葉とかじゃなくて
自然と零れた言葉は俺達が終わったことを突きつけるのには十分すぎた
「……はぁ」
二階に上がる直輝を確認すると
リビングに戻って子猫をだき抱える
本当拾った時はぐったりしていて
病院に連れていった時はもう助かるかも分からないって言われた
だけど沢山頑張ってくれたんだろうな
日に日に様態は良くなっていって
今では退院して元気にご飯も食べてくれる
「にゃんこー、俺の大切な人に会わせてやるからな〜」
「ミャー」
「ふふっ、何か返事したみたいだね。 よしよし」
雪のように真っ白でフワフワな毛をしたにゃんこを撫でてやるとゴロゴロと気持ち良さそうに鳴いていた
「直輝」
「おー、本当に猫だ」
「……嘘だと思ってたの?」
「いや祥が猫になってくれるのかなって」
「ふざけんな! 追い出すぞ!」
「あははっ、大きな声出したら猫が怯えるだろ」
「……本当ムカつくやつ」
二階に上がって直輝に
にゃんこを見せると微かに嬉しそうな顔をしている
怯えるかなって思ったけど
案外にゃんこも直輝にすぐ懐いていて
何故だか直輝の傍にベッタリくっついたまま離れなかった
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