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◇◇◇◇
天使直輝が帰って行った後、
控え室には祥さんと二人きりになった
「祥さん、夢ってなんですか?」
「へ? あ、うんちょっとね」
「……」
困ったように笑った祥さんが具体的な事を言わないで誤魔化す
さっきもそうだったけど
ああ結構まずい感じかな
僕に取って全然面白くない展開だ
前よりも二人の距離が近い
「……あの、結葵君」
「はい?」
「あのね、本当に嬉しいんだけどやっぱり……俺じゃなくて別の誰かに頼めない?」
「え?」
「初めて専属になれて本当に嬉しい。 でも結葵君が俺にしたのって仲が良いからなのかなって……」
「ああ……それもありますけど、でも僕祥さんが努力してるのとか本当に腕前とか見て決めてますよ」
「それは……嬉しい。 ありがとう」
俯いていた祥さんが
驚いて顔を上げた後にほんのりと頬を染めて笑う
これで面倒な事は言われないかな
そう、思った時
再び祥さんが口を開いた
「でもごめん。 俺ね一番最初に専属になるのは直輝だって決めてるんだ」
「天使さん?」
「難しい事なんて分かってる。 自分からチャンスを蹴ってるのも分かってるんだけど……専属として立候補してきたのは今迄化粧品会社とかなんだ」
「タレントは請け負って無いって事ですか?」
「うん……そうなんだ。 ブランドとか会社とか、そっち側の専属には契約してるんだけど」
「……」
「結葵君、だから……、ッ?! 」
つまらない
本当に楽しくない展開だな
申し訳なさそうに眉を下げて
それでもハッキリと意思を示す祥さんを押し倒すとその五月蝿い口を塞いだ
「ーーッ!」
「……」
「ゆ、あくん……!」
「驚きました?」
「なにを……辞め、て!」
「祥さんに僕、見せたいものがあるんですけど見てくれます?」
「なにを……これ外して結葵君!」
バタバタ暴れだす祥さんの両手をネクタイで拘束する
五月蝿い祥さんの口を手のひらで覆い隠すとポケットから出した携帯の画面を見せつけた
「これなんですか?」
「ーーっ!」
「僕の言いたいこと分かります?」
「……ッ」
僕の下から抜け出そうともがいていた祥さんが激しく動揺した面持ちで画面を真っ直ぐに見上げる
やがて僕の言わんとすることを理解したのか
あんなに暴れていた体から力がすーっと消えて行った
「……結葵君」
「ふっ、僕の名前呼んでくれるんですね。 祥さん優しい、大好きです」
「ッ」
もう暴れることは無いだろう
悔しそうに唇を噛み締めてる祥さんの瞳は僕が次に口にする言葉を待っていた
「僕の恋人になってください」
「え?」
「僕と一ヶ月の間付き合ってください、祥さん」
「ま、待って……意味わからないんだけど」
「今朝聞いたんですけど、映画の配役もらえたんですよね」
「……」
「その映画のクランクインからクランクアップの間僕と付き合ってくれたら、この画像全て消します」
「……なんで」
「面白そうだから」
「そんな理由……」
「そんな理由じゃないですよ。 とても大切な理由です、つまんない世界での暇つぶし」
「……ッ」
「それで返事は?」
「……もし断ったら」
「今すぐ流しますね。 天使直輝のこんなネタ誰だって欲しいに決まってる」
「辞めて」
「……」
「直輝の事傷つけたら許さない」
「じゃあなりますか? 僕と恋人に」
天使直輝と自分の体を天秤にかける間もなく、はなっから決まっていたかのように祥さんが力強く頷く
そして微かに震える唇を開くと
意志のこもった真っ直ぐな声が聞こえた
「……いいよ。 その代わり今言ったことは守って」
「そんなに天使直輝が好きですか?」
「……答える義理なんてない」
「ふっ、祥さんも怒ったりするんですね」
「……ッ」
「でもね、僕は……」
綺麗な肌を撫でて頬に手を添える
心底嫌そうな顔をした祥さんの耳元まで顔を近づけると囁いた
「祥さんの泣いた顔が見たいんです」
「ーーッ」
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