アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
時間×距離=二人愛
-
◇
『ちょっと俺の家行ってくれない?』
直輝からの急なメッセージが来たのはちょうど仕事からの帰宅途中の出来事だった。
「それで? 家着いたけど」
『合鍵で中入って』
「……? 分かった」
メッセージの通り家に着いた俺は直輝に着いた事を伝える為に電話を掛けた。
そして次に言われたのは家に入ってとの要求。理由は分からないけど、言われるままに電話を繋げた状態で家に上がる。今は誰も住んでは居ないけどたまに掃除をしているから中は綺麗でそのまま以前と変わらない状態。早く昔みたいにこの家で直輝とまたゆっくりしたいと思えるぐらい何も変わっていない。
「上がったよー」
『じゃあそのまま寝室行ってタンスの上にある開扉開けて』
「うん」
何だ急に。一体どうしてこんなところを開けさせるのかと不思議に思った時、目の前に現れた幾つもの物体に体が固まる。そして数秒後直輝の考えてる事が理解出来た俺はワナワナと湧き上がる怒りに体を震えさせた。
「ーーッバカ直輝!」
『ふっ、それ使っていーよ』
「要らないよッ誰がこんなの使うんだよこの変態! 本当に最低だバカ!」
こみ上げる恥ずかしさに罵倒が止まらない。勢い付き出た文句を一通りぶつけるとほんの少しだけスッキリしたが未だ手に持つモノへの不快感は拭えなかった。
だってそれもそうだろ。使っていーよの言葉と、俺の視界に映るのは男のモノを模したバイブでそれもとんでもなくグロテスクな形。使っていーよじゃなくて使わないよ!って話だ。一体何でこんなモノがあるのかって電話越しに笑う直輝を今すぐ殴ってやりたいし、とにかく腹が立つ!
『それでエンジョイオナニー生活』
「シ!ネ!」
『俺が死んでいいの?』
「ッ、はあ? だからさ、もう、それは……、~~ッバカなお!」
『ふふっ』
何がレッツエンジョイだよ。言ってる本人はわかりやすく棒読みでどうせ今電話の向こう側、表情ひとつ崩さずに俺のこの反応もお見通しだって顔してるんだろ。
だから尚更腹が立つ。想定内の反応をとる俺も、玩具ひとつで慌てふためく俺も。見事に直輝の手のひらで踊らされてるんだから。
でも確かにシネは言いすぎたと反省するけど、結局素直に謝れなかった。
『俺が満足させてやれない事が原因なんだし、1発抜いときなよ』
「いっ、い、っ?!」
『そのまま欲求不満で居られてフラフラ男を呼び寄せる方が俺は嫌だからね』
「は? 何の話してんだよ」
『これだから無自覚は』
「む、自覚って……今は関係ないだろ」
『大あり。 この一ヶ月相当人気らしいじゃん、祥ちゃん』
「人気って……」
『昨日も告白されたって?』
「ーーッ!」
『俺が居ないからってふらふら他のやつに触らせたら酷いお仕置きするからな』
「触らせないよ……ッ!」
『ふーん』
どこか信用していない直輝の声。
確かに……疑われても仕方ない前科がある訳だからそれに関しては強く言い返せない。それにここ最近、人から好意を聞くことが多くなったのも事実だった。それも同性からで、俺自信びっくりするほど。
『疑ってるんじゃないよ』
「えっ?」
『別に祥を疑ってるんじゃない』
「じゃあーー」
『ただ俺が祥のアナニーを聞きたいだけ』
「……」
……は?
『祥ちゃんムラムラしなきゃツンツンばっかだし、この生活もそろそろ終わりだろ? だから記念に』
電話越しに揚々と嬉しそうな声が聞こえる度、額には青筋が浮かび上がる。喉元迄出かかった暴言を何とか抑えると深呼吸を繰り返した。
そうじゃん、元から直輝は変態魔王みたいなやつだったじゃんか今更こんなので怒って喧嘩して仲直りとかで直輝の思い通りになんかなってやるもんか。絶対今日は直輝のペースには乗らない。そうと決めれば、マグマの様にムカムカする怒りを抑え込んで冷静な態度をとった。
「反省する迄連絡して来ないでください」
『祥?』
「直輝はどうぞご勝手に1人で抜いてればいいだろ。 もう、俺帰るから、謝って来るまで連絡しないからな!」
『おいーー』
まだ何か言いかけていた直輝を無視して目の前のベットに携帯を投げつける。ブンッと音を鳴らして飛んでった携帯は布団の上にポスっと落ちていった。結局最後の方はムッとして強く言い過ぎたけど、いつものように怒って落ち込んで直輝の言いなりにならなかった自分をほんの少しだけ誇らしく思った。
「今日の俺は直輝の思い通りになんかならなかった! 凄い!」
よく考えれば凄くもない事だけど普段から手のひらで転がされてるとこういう反抗は少しスカッとするもんだ。
さっきとは違う清々しい気持ちで俺もそのままベットの上にダイブした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
369 / 507