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おやすみとおはよう
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寝室の隣に設置されている居間の様な部屋へ移動して、ヨーロピアンテイストのソファに腰掛け待つと祥が戻ってきたのはそれから暫く後だった。
「で、出た……!」
「ふふっ、こっちおいで」
「……ッ、……ぁ、う」
「立ってても仕方ないだろ? 折角誕生日なんだしシャンパンでも飲もう。 ルームサービスで好きなもの頼みな」
「あ、ゃ……う、はい……」
「……」
シャワールームへと続く壁から、顔だけを覗かせて祥がしどろもどろに返事を返す。
何故か体を見せようとしなくて不思議に思っていたけど、仕方ないと諦めたのか、暗闇の奥から現れた祥の姿にドクドクと胸が焦げ付く。
「お、俺こういうの着慣れてなくて……直輝みたいに背高くないし……変、だよね」
「……あー」
「ッ、あ……やっぱり服に着替えてーー」
「いい」
「へ?」
「いい、そのままで。 似合ってるよ変じゃない」
「〜〜ッ」
再びシャワールームへ向かおうとしするのを止めて素直に白状すれば、俺よりも顔を赤く染めて照れている。
プシューなんて効果音が鳴りそうな程真っ赤な顔してはちょこんと距離を置いて横に腰を下ろした。
「何食べる?」
「へ?!」
「……緊張しすぎ。 今すぐにとって食いやしないって」
「ととっ、とって食い……ッ」
「……俺が悪かった、とりあえず落ち着け」
「っは、はい……」
ブワッとこれまた一層顔が赤くなったのを見て倒れるんじゃないかと不安になる。
それもそうだし、なんて言うかコレは目に毒だ。
バスローブから覗く胸元も、シャワーを浴びて来たからなのかふんわりピンク色に染まっていて、鎖骨が見えて色っぽい。
全体的にフェロモンダダ漏れにして帰ってきた祥に俺も当てられそう。
学生の時よりも遥かに違う大人の色香に四年の月日は偉大だと思った。
「じゃあ移動しよ」
「移動?」
「このルーム向こうにもう一つ部屋あるんだよ。 リビングみたいになってるから向こうで食べよう」
「えっ、ここだけでも十分なのに……? お風呂だって広すぎて緊張したし寝室も有り得ないぐらい広いのにまだ部屋があるの?!」
「ま、行ったら分かるよ」
「……」
あまり輝かしい顔を見せない祥にやっぱりかぁと納得する。
さしづめ、この部屋が幾らなのかだとかくだらない事を考えては罪悪感でも感じているんだろう。
そんなの気にしないで欲しいと伝えた所で、祥はそう出来るほど器用じゃない。
「祥、変なこと考えるのは無しだよ。
お祝いの時は素直に受け取って貰えるのが一番嬉しいんだからさ」
「……ありがとう」
「楽しんでくれたらそれでいいよ」
「楽しいよ。 凄い楽しいし、……幸せだよ」
「……俺もそれが聞けて幸せ」
裾をちょっとだけ握って上目がちに見上げては伝えてくる祥の髪を指で梳く。
そのままおでこにちゅっ、とキスをすると手を繋いだ。
わざわざ木調で出来た洋館を連想させるような造りのドアを開けると、そこはよく映画で見る城の部屋にそっくりなデザイン。
淡いクリーム色を基調に、照明はオレンジ色の暖色が明る過ぎず暗すぎない様部屋を照らし雰囲気がいい。
この部屋自体がヨーロピアンテイストなのかどこもかしこも装飾一つ一つが拘っていて、ボルドーのソファとブラウンのテーブルが置かれた奥には、貴族でも座って居そうなこれまた洒落たダイニングテーブル。
その真横の壁一面を陣取る様に真ん中に飾られているのは綺麗な風景画。
余裕でこの部屋で家族が住めてしまえそうな広さに、祥は驚いたままキョロキョロと忙しなく見回していた。
「凄……」
「ふっ、口空いてるよ」
「ッ、こ、これホテルだよね……? 本当のお城に来たみたい……」
「気に入った? 窓から園内見えるから後で見に行こう」
「あ……」
「外も出れるよ」
「え、わ……ここで一日中遊べるね……」
どこかボケーとしたまま阿呆そうな感想を述べる祥に笑う。
一日中は流石に遊べないだろ。飽きる。
でも一日中この部屋でセックスするなら飽きない、とは言わないで置いた。
「……なんか今直輝変なこと考えただろ」
「んー? いいや」
「だって、なんか悪寒がした」
「ふっ、まあ早くこっちおいで」
「う、うん」
「そうだ、目瞑ってな」
「え?」
「いいから」
「分かった……」
祥の手を引いて、扉の前から中へと入る。
ふかふかの絨毯に驚きながら後を着いてくる祥を丁寧に誘導するとゆっくりと部屋の真ん中に設置されたソファへと腰掛けさせた。
「もう、いい?」
「まだかな」
「うーん……。 ……なにしてるの?」
「秘密」
「……も、見てもいい?」
「駄目だよ」
ぎゅうと目を瞑って不安そうに訪ねてくる。
祥がお風呂に入ってる間、用意していたモノを完成させるとスイッチ式の照明は全て落とし、明暗を操作出来る照明だけを残す。
すると真っ暗な部屋に微かにオレンジの光が広がって、蝋燭の様な淡さが部屋を包んだ。
柔らかい光が照らすその真下に座る祥の白い肌がユラユラと揺れて綺麗だ。
「直輝……?」
「大丈夫、居るよ」
喜んでくれたらいいな……と少しの緊張と共に、目を開けてと伝えれば、パチパチと瞬きをした後祥の表情は満面の笑みへと花が咲く。
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