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おやすみとおはよう
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*
「祥ちゃん起きて」
「んぅー」
ふわふわしたものが顔を撫でる。
聞き慣れた大好きな声がして、安心するからもう少しこのまま眠りたいのになかなかそれを許してくれない。
「祥ー」
「やぁ……ねむいの……」
「寝ぼすけ。 早く起きなきゃ置いてくよ」
「アッ、ん」
「それともこのまま朝エッチする?」
「ふぁ……っ、あ、やだ」
上手く回らない頭は状況に上手く追いつかない。
素肌の上を暖かい何かが這い回ってくすぐったさに身をよじった。
「可愛い」
「ん、や……やだっ」
「早く起きてよ。 俺、寂しくて死にそー」
「あ、ッん」
耳元で聞こえたハスキーな声。
やっとその声の主が直輝だと理解出来た頭はのろのろと稼動を初めて、重く閉ざされた瞼がゆっくりと開く。
眩しい白い光が視界に映り込んでしょぼしょぼする目を擦ると、ほっぺたチュッと柔らかい物が触れた。
ふにゃりと緩む頬を撫でられて一番に視界に飛び込んできたのは、ビッフィーのぬいぐるみ。
そのぬいぐるみを持ってる直輝が居て、朝からきゅんきゅんと胸が高鳴った。
「おはよう祥」
「……う、おは、よ」
「ふふっまだ寝ぼけてんなぁ。 んー、可愛いー。 このまま抱きたい、いい?」
「う、ん……」
「いいんだ?」
「へ?」
「じゃあ頂きまーー」
「駄目……ッ!」
「痛ッ」
「だ、駄目! 駄目だよ!」
「……」
真ん前にある顔を思わず平手で押し返す。
顔面に直撃した手は無言になった直輝に掴み取られて、指の隙間から見えた瞳はギロリと光っていた。
あ、やばい……怒らせた?
「な、直輝ッ」
「……」
「ごめ、痛かった?」
「……寝る」
「っ、え、待って……ごめんね?」
ビッフィーを押し付けられて、今度は逆に直輝が布団に潜ってしまう。
おろおろと狼狽えながら、顔を覗き込むけど瞼は閉ざされていて顔面に平手は無かったよなぁと早くも朝から大後悔だ。
「な、なおー、起きて?」
「……」
「寝ちゃうの?」
うんともすんとも言わずに黙り込む姿が胸を掻き乱す。
後直輝と過ごせるのは今日だけだ。
眠くて酷いことしたけど、出来れば俺もずっとずっと抱き合っていたい。
手に持つビッフィーを抱きしめながら、どうしようかと考えを巡らせて閃いた。
「……」
ぎしっ、とふかふかのベットが沈む。
直輝の顔の横に手をつき、覗き込むと形のいい閉ざされた唇にキスをした。
「……ん」
ちゅっ、と触れて離れる。
名残惜しくて直輝を起こすための出来る限り俺ができる気持ちの伝え方だったけど、そんな気持ちよりも率直なキスをしたい気持ちがジワジワと胸に溢れかえってきた。
「は、ンッ……なお、口開けて……」
「……」
「……いいよ意地悪。 ずっと寝て振りしてなよ」
お願いしても聞いてくれない直輝にムカついて、下唇に噛み付いた。
するとピクッと直輝の体が反応を示して、白髪がサラリと揺れる。
それが何だか嬉しくて、もう少し強めに噛み付いては、軽く吸ってみた。
いつも直輝はどうしてたっけ?
なかなか上手く出来ないキスにもどかしさを感じて、舌でつついたり、舐めたり出来ることをしてはううんと唸った時、グイッと頭を引き寄せられた。
「ッんん」
驚き目を見開くと、パチリと開かれた直輝の茶色の瞳と目が合う。
視線が絡まりあって、ゾクゾクと震えた時、目元が微かに垂れ下がったのがわかった。
「ぷはっ……! な、直輝ッ」
「祥ちゃん相変わらずキス下手」
「〜〜ッ、うるさっ」
「でも可愛かったよ」
「だ、黙れバカ!」
「それで、続きはないの?」
「へ、あ、やめ」
起きたら起きたでニヤニヤ笑って迫り来る直輝に起こし方を間違えたかと思ってしまう。
いや、いいんだけど、いいんだけどね。触れ合いたいし、キスも沢山したいけど、心が持たないから、死んじゃう。
「続きはしていいの?」
「ッ、」
「答えないならこのまましちゃうよ?」
「〜〜」
ジワジワ迫られて、ぺろりと赤い舌を見せて唇を舐める直輝の艷麗に目を奪われる。
昨日の事を思い返して、ボンッと赤くなった顔を隠す様に慌ててビッフィーを抱きしめた。
「逃げんな」
「っ、待って……!」
「なに」
「ご、ご飯……食べよ……?」
「……」
「ご飯食べたら、その、良いよ」
「何がいいの?」
「き、っ昨日の続き。 俺も、したいからっ」
「ッ!」
「だから、朝ごはん先に直輝と、食べたい。 ダメ?」
「……はぁ」
「……」
ビッフィーの横からちょこんと顔を出して直輝を覗く。
また断ったら、嫌な思いするかな……。でも、少し休憩しないと本当に死んでしまうから。
申し訳なさと、ドキドキバクバクしてる緊張に胸をいっぱいにしながら待つと直輝に口付けをされて、それから頭を撫でられた。
「いいよ、そうしよ。 ホテルのラウンジに行こう」
「っ、うん!」
パッと笑う俺に、直輝も微笑み返してくれて。嬉しさにワクワクしながら着替えると直輝と一緒にラウンジへと向かった。
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