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伝えぬ想いは掌に還る
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ぴりっとした痛みとじんじんと広がる愉悦の波紋。
腰から湧き上がる熱の渦が堪らなく興奮を煽る。
「しょう、ちょっとまって」
静止の声を無視され、代わりに頬を撫でられる。
慈しむように優しく触れては吸い付き、わざとらしいリップ音に脳内を犯されている気分だ。
「あ……っ、ぁ」
「きもちー?」
「……きもち、いいけどさ」
これって俺が女役なんだろうか?
「しょう、あのさもしかして俺にいれるつもりだったりしないよね?」
「……。だめ?」
「……」
こてんと首を傾げる様にあざとさを感じる。
これがもし計算ならば相当の悪女……いや、堕天使? 詐欺師?
祥の股間はもう既に盛り上がりを見せていて、愛撫に混ざりながらゆらゆらと下肢が腹の上を滑る。薄い浴衣越しに祥の確かな熱を感じて、俺はくらりと眩暈がした。
抱かれるのだけは勘弁して欲しい……!
「決めた」
「え?」
ちょっと男の攻め方をこのまま見ていたい気がしなくもないがどうせ殺されるならば、抱きたいだろう。抱かれたうえに直くんの糾弾を受けるだなんてたまったもんじゃあない。勘弁して欲しい。
という訳で、やられるまえに、やってしまおう。
「祥、おいで」
「ンッ」
疑問を孕んだ視線に笑みを返し頭を引き寄せる。抱き込んで優しく細い背中を撫でると、一瞬で上下を入れ替えた。
「はい、万歳してー?」
「ん、やぁ……」
「やだじゃだーめ。祥は可愛く鳴いてる方が似合ってるよ」
「……むぅ」
女役が似合うという意味では決してないが、今のはどうやら祥の琴線に触れたらしい。
ほんのり朱色に染まった頬をふくらませ、祥は柳眉を逆立てると俺の半勃ちのソレを思い切り握り込んだ。
「い"っ!」
「謝って!」
「い、たい、ごめんごめん、冗談だから」
「やっ!」
手加減なんて無しにギリギリと睾丸迄握り込まれると堪らない痛みに視界が白む。
祥はと言えば苦痛に歪んでるだろう俺の顔を心底満足そうに見つめると今度は官能を呼び起こす様に萎えたソレを刺激した。
「は、ぁ」
「また言ったら、もっと痛くするからね」
「……直くんってこういう時どうしてんのかなぁ」
「なに?」
「あ、いいやなんでもないよ」
ひとりごちた言葉を誤魔化し早く直くん達が帰って来ないか考える。
正しい判断ができるか危ぶまれる瀬戸際に今はたっている状態だ。一押しされればころりと流されてしまいそうだし、このまま何とか痛みで繋げば二人が戻る迄冗談でギリギリ済みそう。祥には悪いけど、耀さんにヤキモチ妬かせるならば構わないと思った。
どうせ祥の事は甘いんだ直くんは。嫌われるとするなら俺だろうし、それはそれで残念だけどコツコツ怒りは鎮めて行こう。
さてどうしたものかと思案していると、不意に首の後ろを抑え込まれて引っ張られる。衝撃に瞠目すると、あと数センチの距離に祥の綺麗な顔があって俺は思わずその柔な体を突き飛ばしていた。
「──っ、い」
「ご、め……ごめん! 祥、怪我してない?」
「……だいじょうぶ」
軽い祥の体は思った以上に後ろへと倒れこみ。強かに身を打ち付け痛みに喘ぐ。その激しい音にはっと意識を戻し慌てて駆け寄ると、言葉とは正反対の表情に息が詰まった。
「……ごめん」
きゅっと寄せられた眉。垂れ下がり悲しげに不安を孕む瞳。眦には微かに涙が浮かんでいて薄い桜色のふっくらとした唇は痛々しく噛み締められていた。
嗚呼、泣かせてしまった……。
キスをされると思った瞬間、考えるよりも早く手が出ていた。思い切り突き飛ばしたからどこかやはり怪我をしたのだろうか。
しかしその考えは全くの勘違いであった。
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