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再会
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大洗竹春教授は僕が大学生だった頃は准教授で、とても人気のある先生だった。
親しみ易い笑顔と整った顔立ちに立派な体躯、豊富な知識と兼ね備えた上品さ、人気があるのは当たり前だった。
僕はその頃先生と特別会話をするようなことはなくて……というよりは今考えれば僕はその人気の准教授を避けていたのだろうと思う。
先生が嫌だったのではなく、先生を取り囲む華やかな環境に僕は嫌悪感を抱いていた。
明るく華やかな場所にいる先生と僕は住む世界が違うと思い込んでいたのだ。
しかしある日、声を掛けてきてくれたのは先生の方だった。
僕の書いたレポートを読んで興味を持ってくれたと、そう言った先生の笑顔はとても爽やかで、僕の書いたそれの何にこんな人が共鳴をしたのだろうと不思議でしょうがなかった。
だけど、その後予想外の出来事があったとはいえ、それからそれほどの時間を使わずに僕たちはすぐにわかり合うことが出来た。
僕は初めて自分を理解してくれる人間に出会ったのだ。
出張で訪れたという僕の住む街に程近い歓楽街で僕たちは再会した。
「桐生くん、こっちだよ」
そう言って微笑む先生は久しぶりだというのに何も変わっていなくて、僕を見た先生も同じ事を言った。
懐かしさを嬉しく思う感覚は僕にとってとても新鮮だった。
適当に食事をして、酒を飲んで、近況を話して。
先生は饒舌でかといって喋りすぎず、品が良く、魅力的で、特に先生の研究の話は実に興味深く、面白かった。
聞けば何でも答えてくれるその知識の多さと深さに僕は没頭し、先生との会話と先生の選んだ甘いブランデーの香りにすっかりと酔っていた。
そんな心地のいい時間を過ごし、そろそろ帰宅を考え出す頃先生は言った。
「今度いつか桐生くんのあの子に会ってみたいな……とても可愛らしい子だったね。そして君にもうちの潤を見てもらいたい」
「ジュン?」
「そう、潤だ。とても従順で美しくて可愛い子なんだよ」
とても優れた芸術品を語るような先生のその口調に僕の心がざわついた。
そして碧に会いたいという、先生の言葉が何を意味しているのかも僕には理解出来た。
先生はジュンという人間に陶酔しているのだろう。
僕を見ているようで、僕を見ていない先生の瞳はその彼に向けられているのがよくわかる。
それは僕が碧を思う時ととても似ていたからだ。
先生の美しく可憐なものを愛しいと思う気持ちを僕は理解出来る。
数少ない同じ喜びを知っているであろう先生の恍惚にも似た眼差しに、僕の気持ちも高まった。
「君のその子もさぞ可愛いだろうと思ってね」
先生の表情にあの美しく可愛らしい碧を先生になら見せてもいいと、そう思った。
「そうですね……僕もその彼に会ってみたいです」
僕の言葉に先生は微笑んだ。
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