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2015/02/14/AM 待ち合わせ
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碧は緊張していた。
いつもは二人きりでしか過ごすことのない僕たちの時間。
最初はちょっとしたお遊びのつもりで大洗先生と約束した予定だったが、急遽入った連絡で先生の言っていた『潤』という少年を連れて行くから、よかったら碧も連れてきてくれないかと言われ僕はさっそく碧を連れ出した。
僕たちが付き合い初めてからこんな風に誰かと会うようなことをしたことがなかったから、碧にとってはとても特別なことに思えたのだろう。
車で家の近くまで迎えに行くと、碧は待ち合わせ場所で数十メートル前からわかるほど全身を強張らせて僕を待っていた。
「お待たせ」
「あ、い、いえ、ぜ、全然、待ってないです!」
そう言った碧は鼻の頭を赤くして、口元までしっかり巻いたマフラーの中でぷるぷると首を振った。
碧はとても可憐で儚げな子だった。
出逢いはあまりに日常の中で、それなのに碧は呆気なく僕の心に住み着いた。
大きな濡れたような真っ黒な瞳で僕をずっと見つめている物静かな子。
言葉以上に語りかけてくる視線。
何故か僕はその存在に強く惹かれてしまった。
17歳のその年頃ならそろそろ男性らしくなっていってもいい頃だというのに、このまま永遠に少年のままなのではないかと思わせるような細く華奢な体つきと純粋で無垢な心。
僕の狂った異常性愛をも受け入れ、健気に僕に寄り添おうといつも苦痛に耐える少年の身体。
きっと僕になんかに出会わなければ、碧は普通の青春を謳歌していたと思うとまともではいられないのはいつもの事で、それでも僕たちは一緒にいる。
結果的に言えば、僕たちは離れられなかった。
僕は碧を手離せなかったし、碧は僕を追うのをやめなかった。
救いを求めて何度か別れを願ったが、碧はこんな壊れた僕を諦めなかった。
僕は僕をとっくに諦めていたというのに。
苦痛に耐え、羞恥に身を焦がす碧は美しい。
でもそれは同時にあまりに痛々しく、可哀想で、苦しい。
その先にしか愛を感じられない僕の為に碧は全てをいつも捧げて涙を浮かべている。
可哀想でいじらくしてとても愛おしい。
僕は生まれて初めて人に対してこんな感情を持ったのだ。
つまりこれが僕にとっての初恋なのだろう。
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