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2015/02/14/AM 言葉遊戯
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「……………そ……そうですか……」
懐かしい記憶に思いを馳せていると、碧の小さく縮こまった声で現実に戻された。
静かになった車内、僕は信号待ちで横を見る。
寄せられた眉、震える睫毛、俯く小さな顎。
「碧?」
そうか。
ちょっとした悪戯のつもりだったが、碧にとってはこれから僕の元恋人に会うというプレッシャーを与えてしまったのかもと思うとさすがに申し訳ない気持ちになる。
でもそれをつい楽しんでしまいそうになるのは僕の悪癖で、もう少しだけこの可愛い恋人の反応を見たくなってしまう。
「僕と大洗先生がどんな事をしてたか、気になる?」
「え?」
僕の問いに碧がビクリと身体を震わせた。
その様子が可愛らしくて僕は密かに微笑んだ。
「僕と先生はね、とても趣味が合うんだ」
「!」
妄想を掻き立てるような言葉を投げ掛けて、俯く碧が膝の上のズボンをぎゅっと握り締めるのを横目で見る。
碧の頭の中で僕はどんな風に悦に浸っているのだろうか。
どんどんと赤くなる碧の白い肌が僕の興奮を煽る。
僕と情事をしている自分を思い出して、そこに大洗先生を重ねているのだろうか?
それとも自分と同じ体験を僕にさせている?
碧の頭の中で淫らな自分を想像されるのは新しい感覚だった。
今まで僕たちが重ねてきた情事を思い出し、その悦が嫉妬というスパイスを加えて碧の頭を支配しているのだろう。
そう思うととても気持ちがいい。
「………だ、大丈夫です……き、気にしません…っ」
視線を一瞬やると小刻みに震える華奢な身体。
碧が何かに耐え、現実を受け入れたくないと思っているのはわかるのだけど、気にしないと言われるのはちょっと面白くない。
碧がそんな自分の感情を前に出す人間ではないのは知っているが、もし僕の為になら、と淡い期待をしている自分がいたからだ。
「へえ、そう……ならいいけど」
なんだ、つまらないな。
そんな事を心の中で呟く。
もっと深くまで聞いてくれたら真実を教えてあげようと思ったのに、嫉妬をして溢れる独占欲で僕の全てが知りたいと言ってくれないのなら、それはとてもつまらない。
「………僕の過去に碧は興味がないんだね」
そんな事を言って、僕は少しだけがっかりしている自分を楽しむ。
幼い碧の判断に落胆する自分。
碧に全部欲しいと言わせたい僕。
こんな僕を愛してしまった碧。
可哀想だと思うのに、そんな酷い事を言う僕は醜い。
だけど、これが僕だ。
歪んでいて、醜くて、汚い欲望で碧を試しては穢すようなそんな愛情。
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