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追憶 天井の染み
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「ああっ……きりゅ…くんっ……桐生くんっ…あ!…あぁっ…!」
水曜日に同じ授業を取っているという男が、僕の下で身体を跳ねさせている。
男は後ろ手に縛られて、自らのシャツで目隠しをされて、醜く喘いでいた。
キャンパスから近いからと案内された狭いアパート。
敷きっぱなしの布団と山積みの雑誌。
不潔感はないが古く殺伐とした部屋で、天井には黒い染みがあってそれは羊のような形をしていた。
緊張した様子で『何か飲む?』と男に聞かれて首を振ると、男はおずおずと僕の隣に座った。
男の用意した潤滑液を見て、初めてじゃないと悟った僕は強姦だと思われない程度に触れてやり、口淫をさせて貫いた。
自分より僅かに小柄なその男が苦痛に悶絶しながらビクビクと背を反らす。
「名前を呼ぶのやめてもらえますか?」
「あっ…あ!……っああ"っ…!」
ミチミチと肉を割り、性急に全てを飲み込ませようと力を込める。
ある程度慣れているとはいえ、最低限しか解さずに挿入をされるのは流石にきついらしく、男はまるで拷問を受けているように全身をひくつかせて喘いだ。
震える彼の身体はどこからどこまでも微かに揺れていて、苦痛と快感の狭間で僕の熱を受け入れていた。
それでも彼の劣情はまだ継続されているらしく、萎えかけたそこは僕が腰を埋め終えるとまた強く聳立して透明な体液を溢れさせた。
それを見てほんの少しだけ沸き上がる僕の支配欲。
「聞いていますか?名前を呼ばないで下さい」
この行為に僕を僕だと認識するのはとても苦痛だった。
僕は僕であることで、この行為を楽しめなくなる。
僕はこの男の事を知らないし、相手にもそうであることを望んだ。
誰でもない支配者と支配されるものになることで、僕はやっとこの醜い行為を受け入れられるのだ。
「ご…っ…ごめん…なさい……っ、ひ…あ"ああ…っ!」
叫び声にも似た嬌声が聞こえ出したところでやっと気持ちが落ち着いて、腰を打ち振るう。
肉体的な快楽が満ち始めると僕の中に見えてくる映像。
頭の中で泣き叫びながら男達に次々と犯されていく可哀想な少年の姿が流れ始めると、僕は僕を脱ぎ捨ててやっとその愉悦に浸る。
揉みくしゃになって貪られる細い四肢。
壊れてしまいそうな細い腰、痣だらけになった薄い身体。
男達の荒い吐息に虚しく掻き消されていく嗚咽の混ざる嬌声。
痙攣をしたように昇天を繰り返す少年を許すことなく男達が群がり続け、思い思いの劣情をその繊細な身体に次々とぶつけていく。
か弱き少年はまるで魔法にも掛かったように、その強引な行為に叫び声を身体を跳ねさせていた。
それはいつの頃からか僕の脳裏に浮かぶようになった映像。
僕を支配する妄想。
幼い頃に見た記憶と徐々に増えていく妄想が連なって僕の劣情を強く掻き立てるようになっていた。
可哀想、可哀想、なんて理不尽な悦。
けれど、止められない。
何故ならそこには極上の甘美がある。
征服される者と、征服する者。
その縛られた関係が僕を興奮させる。
苦痛と屈辱の上にある悦を一度知ってしまったら、もう知らない頃には戻れない。
支配欲だけが僕を満たす。
欠けた僕の心に刹那の温かさを与えてくれるのだ。
僕が欲しいのはこの一瞬の温もりだけ。
それ以外僕を癒すものはこの世に無い。
僕は壊れているから。
「────────っ!!」
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