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追憶 本棚のある部屋
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水曜日の男は腹いせに僕と寝たことと自分が捨てられたかのような内容をそういう仲間たちに触れ回ったようだった。
しかし彼も自分がゲイであることを公にはしたくなかったらしく、たいして大事にはなってなかったみたいだった。
幸い僕の生活にはほとんど支障がない。
友人などを作らない僕が何故そんな事を知り得たかと言うと、水曜日の男を抱いてから言い寄ってくる男の種類が明らかに絞られて来たからだ。
あの日以来、僕に声を掛けてくる男たちはどこか影を持っていて、僕を崇拝するような瞳で見つめながら、突き付けられた理不尽な条件に頬を赤らめた。
それは正直異様な光景ではあったが、僕としては面倒事が減って好都合だった。
「ここなら大丈夫だから」
そう言って研究室の書庫のような場所へ僕を誘った男は大学院生だった。
僕をその狭い部屋に引き入れると慎重に鍵を掛け、熱っぽい目で僕を見上げるその男の眼鏡の奥は印象よりも澄んでいて、案外整った顔立ちをしていることに気づく。
少し華奢ないかにも文系というような雰囲気を纏ったその男の身体つきは年上にも関わらずまだ少年性を残していて、服を自分で脱ぐように指示をすると、僕の前で一糸纏わぬ姿になって興奮していた。
「後ろを向いてください、縛るんで」
そう言い放つ僕に男は恥ずかしそうに背を向けた。
「あ…っ!」
手首を縛り上げただけで甘い声を上げる男に気持ちが萎えそうになるのを堪えて彼の目を隠す。
口も塞いでもいいが、セックスをする上で口が使えないのは多少不便だ。
ここが大学の構内ということを考えて彼がこれ以上声を上げてしまうようなら口まで塞いでしまってもいいのかもしれない。
「足を開いて下さい」
「うん………」
視界を塞がれ距離感のわからない男は素直に足を開くと顎を本棚に触れてしまいそうなほど、首を伸ばし僕の方へと腰を突き出した。
開かれた男のそこはぽってりと膨らんで熱を孕んでいる。
「自分で解して来たんですか?」
「………うん……君に面倒は掛けたくなかった……から」
男は恥ずかしそうにそう言った。
そんなに使い込まれていないまだ初々しい色をした小さな窪みは潤滑液に濡れて潤んでいた。
面倒じゃない人間は嫌いじゃない。
大学院生と聞いて少し面倒な人間かもしれないと思った僕の勘は外れていたのかもしれない。
年齢が上な分気遣いが出来るというわけか。
「………こういうこと……してこない方が……よかったかな…」
用意して来たそこを恥ずかしそうに開いて見せながら、男は不安そうな声を上げる。
「いいえ、段取りがいいのは好きですよ」
「!」
僕の『好きですよ』という言葉に男の身体が震えた。
勃ちかけていた男の劣情がどんどんと膨らんで硬くなっていく。
まだろくに触れてもいないと言うのに、すっかりと身体を熱くさせている男は真性のマゾヒストなのだろう。
ならば好都合だ。
手短に済ましたいのは山々だが、少しくらいならこの被虐性欲者を楽しませてあげてやってもいい、と珍しくそんな事を思ってしまったのだ。
僕は男の後孔に指を押し込んだ。
「ああっあぁ…っ!」
柔らかく解されたそこにすんなりと吸い込まれていく指を動かして男の身体を探ると、男は懸命に足を踏ん張ってその強引な悦に耐えて悶える。
「声を出さないで下さい、人に気づかれると面倒なんで」
男の耳元でそう呟くと従順な男は下唇を強く咬んで、首を何度も縦に振る。
「んぅ、うっ!…んんっ!」
それでも漏れてしまう嬌声をぐっと飲み込むように耐える苦痛にも似た表情が僕の嗜虐心を煽る。
いい子だ。
そんな事を心の中で呟く。
あっさりと快感に屈服する身体を弄ぶように指を数本飲み込ませて中を掻き回してやると、ピクピクと震えて先端からしどけなく淫らな体液を溢れさせる男。
今にも極致に届いてしまいそうな男に僕はまた呟く。
「僕の許可無く射精しないで下さい、もし言うことをきけなかったらそこで終わりです……いいですね?」
「んっ…!…ぃや…っ…そんな…っ、もう、」
男は焦ったように首を振った。
「いや…っ、むり、…お願いっ、とめ…てっ、欲しっい…君が…っ!」
僕を受け入れる為に自分で準備までしてきたというのに、このまま達せられこの行為が終わってしまうのが悔しかったのか男は快感に喘ぎながら必死に首を振りうまく言葉にならない言葉で何かを訴えようとしている。
「声を出すなといいましたよね?」
僕はそんな男の願いなどどうでもいい。
耐えられないなら、そこで終わり。
征服欲さえ満たされれば僕は満足だった。
肉体で感じる快楽にはもう飽きている。
時折訪れるリビドーは自分が動物であることを感じさせてあまり好きじゃない。
それに溺れてしまうのも悪くないのは知っているが、僕は僕自身にさえ支配されるのを好まない。
「欲しかったら耐えて下さい、貴方の選択肢はその二つだけです」
「あ、……ぃや……イキそ…う…っ、やだ、我慢、でき…ない、そんな…っ」
男は僕の指の動きに腰をくねらせて、ヒクヒクと息を詰める。
自分で準備したのが仇になり、痛みを伴わないそこへの刺激はダイレクトに快感へと変わってしまっているのだろう。
だけど、そんなものは僕には関係ない。
こんなことはただのゲームだ。
プライドを捨て家畜のように無遠慮に直腸に指を突っ込まれて喘ぐ男のこの服従した姿を僕は眺めたいだけだ。
言うことをきけないのなら、当然ご褒美は無い。
「質問以外の事を喋るのを止めてください」
男の身体が僕の言葉にピクリと跳ねる。
征服されることを知っているだけあって、命令に従順なのは気持ちがいい。
「僕を楽しませてくれるのなら、貴方の欲しいものをあげてもいい」
そう呟いてやると、男の内側が僕の指を強く締めつけた。
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