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金鳳花 21
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「まだ居たのか…」
鬼を振り返り、男が呆れたように言う
カチッ
左腕の鎖が鳴った
男は自然に右手で押さえる
初めてこの身体になった頃と同じ様に
それはもう80年は悠に昔の事…
「蜥蜴〈トカゲ〉野郎」
キーン
カチッガチッヂヂッ
男の様子に鶯の鬼が
男の中の鬼を睨み付けてそう言うと
鋼が鳴り鎖が激しく震えた
「っぐ」
白い男が呻く
腕を押さえていた手で左目を圧し覆った
男から熱風が立ち上ぼり
鋭い風に炎を乗せ、そこから鶯の鬼に跳ぶ
鋭く跳んできた炎を
鶯の鬼は自らの掌で受け止め
ヂリヂリと肌を焼く炎を握り潰した
炎が消え異臭と共に鬼の掌が煙に巻かれる
開いた手は
ドロリと皮膚と肉が火傷を負い
じわりと血が滲む
「っ」
「っうぅ」
鬼は声を殺し
眉をひそめ痛みに掌を強く握った
同時に男が呻き、熱風が一瞬途絶える
その時
「人間!」
「抑え込め!」
鶯の鬼が白い男に向かって叫ぶ
キーン
と鳴っていた鋼の音が徐々に小さくなり
ギチャッギッ
「はぁ…はぁ」
鎖同士の擦れる音と共に
男は荒い息を繰り返し鶯の鬼を見た
男の火傷を負った右掌から血が滴り
足下の金鳳花を赤く染めた
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