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金鳳花 23
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ニチャッ
指の間を滑る鬼の舌
身体に走る感覚が
痛みなのか艶めいた疼きなのか
意識がそちらに流されそうになる
噛み締めた唇に血が滲んだ
そうして白い男は自身を保つ
掌を這う舌の感触が離れ
傷を確かめる様に鬼の指が撫でる
圧されても痛みは無く
男が固く瞑っていた瞼を開くと
目の前に鶯の鬼の顔が迫っていた
突に見つめた鬼の顔
赤い片眼がジッと男を見ている
その瞳は底無し沼の様に
赤く渦巻きその奥の闇に吸い込まれてしまう
そんな錯覚に襲われた
ゴクッ
男の喉が鳴ると同時に
鬼の舌が唇に滲んだ血を嘗めた
「っ!」
不意に浚われた唇に
男は我に返ると右手で鬼を払い
手の甲で唇を拭った
「駄賃くらいに思えよ」
払われた鬼が男の様子に
薄く笑いながら言った
一息つきながら
男が掌を見ると
すっかり火傷の跡も傷も血も
跡形もなく消えていた
カタカタッ
左腕の鎖が揺れる
「まだ抑えらんねぇのか?」
鬼が忌々しげに言う
「思うように動けぬから」
「暴れているだけだ」
男はやっと落ち着き
戒注連を確認しながら言った
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