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金鳳花 25
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不思議そうに傷を見ていると
スッと薄くなり癒えていく
「これくらいなら直ぐに治る」
改めて鬼の力を目の当たりにしながら
鬼の言葉にそちらを向いた
「儂はお主に鬼泉をやっただけで」
「術などなにも」
男は困惑する
魂繋ぎという術を知らないのは本当だが
実際に目の前の鬼とは一身同体の様だ
「すまぬ………」
「ケッ、辛気くさいな」
男の様子に鬼は苛立たし気に言うと
弄んでいた白い金鳳花を再びクルクルと
指先で回した
「なっちまったもんは仕方ねぇ」
「しょうもない事で怪我すんじゃねぇぞ」
「只でさえ人間は脆いからな」
荒っぽいが気遣っているのか鬼が言う
鶯の鬼の人間という言葉に男は
左腕を擦り表情を曇らせた
心地の良い風が二人の間に流れ鳥が囀る
禍モノの鬼と不思議な男の居るこの場を
束の間の平穏が包む
「焔蜥蜴(エンセキエキ)」
鶯の鬼が真っ直ぐに白い男を見てその名を口にした
「………何故その名を?」
信じられないと言う顔をして鬼に聞き返す
永い間
白い男だけが知る紅い鬼の名前を
鶯の鬼は口にしたのだった
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