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教室を出て、野次馬をかき分ける。
喧騒の中心には、上級生と言い争っている捺芽の姿があった。
言い争っている、というか上級生の方が、一方的に捺芽に向かって怒鳴っているようだった。
「捺芽!」
「美影?」
困ったような顔をして俺の方を向いた捺芽。
「どうしたんだ?」
「あの、俺があの人にぶつかっちゃったんだ。そしたら、制服が汚れたからクリーニング代寄越せって言ってきて...」
どうしよう?と問い掛けるように俺を見つめてくる捺芽。
しかし、捺芽も変な奴に捕まったな。
「おい、あんた」
まだぎゃあぎゃあ喚いてる赤髪の先輩に声を掛ける。
「あ?なんだお前がクリーニング代払ってくれんのか?」
あんっ?と頭悪そうに繰り返している先輩に近づく。
「生憎、あんたなんかに払ってやる金は一銭も持ち合わせていないんでね。クリーニング代は自分で払えよ」
ちっさいなこの人。170ないんじゃないか?睨んでくるけど、全然怖くない。
「なんで俺が払わなきゃなんねぇんだよ!ぶつかってきたそいつが悪いだろ」
捺芽に視線を移す先輩。自分の事だと分かったのかビクッと肩を震わせる捺芽。
今のちょっとイラッとした。
「ちょっとぶつかったくらいで、うだうだうるせぇよ。心の狭い奴だな。誰だって多少ぶつかることぐらいあるだろ。こっちは騒がれて迷惑してるんだ。早く自分の教室に帰ったらどうですか」
一気に捲し立て、不安そうな顔をする捺芽の腕を引き、廊下を後にする。先輩が何やらまだ喚いていたが俺の知ったことではない。
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