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夏もそろそろ終わりを迎える。
俺には仕事があるから、なかなか豊と一日中一緒にというわけにはいかなかったが。
「そういえば最近、旅行にすら連れて行ってやってないなー」
「えー。先輩、それはダメっすよ」
「…………いきなり話に入ってくるな…………」
こいつは、俺の後輩の高橋。
こいつが入社してきた時にいろいろ面倒を見ていた。
そのおかげかすっかり懐かれた。
まぁ、懐かれるのは悪くない。
こいつ、犬っぽいし。
「さーせーん。
んで、さっきの話なんですけど、先輩それって前に悩んでた彼女さんのことですよね?」
「あー…まぁ…そうなんだけどさ」
「ついに付き合い始めたんですね!
おめでとうございます!」
高橋には前に、豊がキスしてきた事を相談したことがある(もちろん、相手が男で息子だということは隠して)。
「いや…付き合ってはない。
なんというか………保留?」
「はい?」
「一応相手の気持ちは受け止めたけど『俺の気持ちがまだよくわからないからわかるまで待ってくれ』って言った」
「…………先輩…………」
何故か唖然としている高橋。
「ん?
どうかしたか?」
「先輩のこと天然だとは思ってましたけど…
まさかここまで天然だったとは…………」
「は?」
いきなり何言ってるんだ、こいつ。
「先輩…。
海行きましょう!!」
「は!?」
話が突然すぎてついて行けないんだけど。
「一夏の思い出ですよ!!
それに、楽しい思い出を共有すれば、自分の気持ちに気づくんじゃないですか?」
高橋…。
普段の仕事でも今みたいに頼り甲斐があれば…。
「しっかし海かー…。
最近行ってないなー」
「なら丁度いいじゃないですか!」
「……いや、でも仕事が…」
「明日先輩休みなんですから丁度いいじゃないですか!
なんなら1週間くらい有給使ってエンジョイしてきてくださいよ!」
さすがに1週間は言い過ぎだろ。
とはいえ、確かに海はいいかもしれない。
帰ったら豊に言ってみるか。
あ、なんかワクワクしてきた。
「高橋、ありがとな」
「いえいえ。
自分の気持ちに気付いたかどうか、ちゃんと報告してくださいよ?」
「わかってるよ」
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